防衛省は弾道ミサイルを大気圏外で迎撃するイージス艦搭載の迎撃ミサイルを陸上に配備する「イージス・アショア」導入を決めた。防衛省幹部が明らかにした。北朝鮮の弾道ミサイルの脅威の高まりを受け防衛網づくりを加速する。2018年度予算の概算要求に設計費を盛り込む。宇宙ごみと人工衛星の衝突などを防ぐため、自衛隊に宇宙監視部隊を新設する。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS17H0D_X10C17A8MM0000/


自衛隊に新たな弾道ミサイル防衛システムとして陸上設置型イージスシステム、通称「イージスアショア」を導入する方向性で固まりつつあるとの報道がありました。

高まる弾道ミサイルの脅威を受けて、現在の2段構えの防衛を3段体制にすることで、更に迎撃精度を上げるためと見られます。

以前より、新たなミサイル防衛として、イージスアショア、またはTHAADの導入が議論されて来ましたが、イージスアショアはTHAADと何が違うのか、どのようなメリット・デメリットがあるのか、おさらいを兼ねて解説していきます。
まず、弾道ミサイル防衛には3段階の迎撃形態があります。

上昇中のブーストフェイズを狙うタイプ、慣性飛行に入った後のミッドコースフェイズを狙うタイプ、そして落下時のターミナルフェイズを狙うタイプです。
ブーストフェイズの迎撃システムは事実上、存在しないに等しいので、今回は説明を省きます。

現在の日本が所有している装備では、イージス護衛艦がミッドコースの迎撃を、ペトリオットPAC-3がターミナルを狙います。

ミッドコースを狙うには、高い高度まで迎撃弾を持っていかなければならないので迎撃弾本体にも高性能が求められるのに加えて、高い誘導性能と正確な弾道計算が必要です。
反面、加速を終えて「慣性飛行」している状態であり、また迎撃弾もヘッドオンヘッドの正対するコースではなく、ある程度の交差角を持った軌道を取るため相対速度も低くなり、ミサイルの誘導性能が同じであれば命中する確立は上がります。
ミサイルの軌道に迎撃弾を撃ち込めればいいので、1個のシステムが対応出来る範囲が広いのも特徴です。
イージスアショアシステムは護衛艦同様、この迎撃を陸上から行うタイプになります。

対してPAC-3が担当するターミナルフェイズを狙う方法は、交戦高度が低くなりミサイル自体は小型化出来る反面、重力加速度で音速の何倍にも達した弾道ミサイルを、ほぼ真正面から迎撃する事になります。
その為、命中確立は必然的に低くなり、また1個のシステムでは局地防衛を担うのが精一杯です。

THAADシステムは正式名称「終末高高度ミサイル防衛システム」と言われ、ターミナルフェイズでも従来のPAC-3より高高度での迎撃を可能にしたシステムです。
高高度で迎撃出来ると言うことは、落下速度がまだ低い(ミッドコースに比べれば断然速いですが)段階での迎撃が可能なので命中精度が向上して、1個のシステムでの対応範囲もPAC-3に比べて広くなるのが利点です。
(高高度まで上昇される為にミサイル本体は大型化しますし、より高性能のレーダーが必要になるのでシステム全体が大型化しますが)
また仮に迎撃弾を直撃させても破片などが、そのまま落下する可能性がありますが、高高度で撃ち落せれば、その被害も軽減することが期待できます。
イージスアショアとTHAADの利点・欠点
まずイージスアショアですが、大きなメリットは護衛艦のイージスシステムとノウハウや弾薬を共通化出来るという点になります。
新しいシステムを一から構築するというのは、運用のみならず整備・補給etc…など凄まじい手間です。
ただでさえ自衛隊の兵站能力は心配な部分も多いので、新たな装備を増やさずに済むなら、それに越したことはないでしょう。
この点、ノウハウを一部でも共有できるというのは大きなメリットと言えます。

反面、欠点はレーダーサイトなどと同様、地上施設として構築される「据置型」になってしまうので、敵の攻撃を受けやすいというところかと思います。
(ある程度、解体・組立が可能という話も噂レベルで聞いたことはありますが)
また、仮にSM-3で対応不可能な弾道の場合には、3重防御のうち2つが同時に破られることになるというのも厄介です。

対してTHAADシステムは、トレーラーなどによりシステム自体を移動しての運用が可能で、必要に応じて射点をカモフラージュ出来ます。
加えて、違うシステムを3種類用意することで、より柔軟な対応が出来ることも大きいでしょう。
しかし自衛隊では前例の無い装備なので、作戦能力獲得までに時間を要するかと思います。

陸海空、何処が担当する?

イージスアショア導入の一報を聞いて、自分がまず考えたのは「管轄、どこになるんだろう?」という点です。

イージスシステムの運用に関するノウハウは当然、海上自衛隊が持っていますが、海上自衛隊は既にMD任務対応の為に相当な予算と人員を負担していると言われており、今後「あたご型」のMD能力付与が完了すれば、更に負担は増えるでしょう。
そうなると「陸に設置した分までこっちでやってられない」という声が出ても何ら不思議ではありません。

レーダーサイトや高射の運用ノウハウは航空自衛隊にもあるので、そちらが受け持つ可能性もありそうですし、また今のところミサイル防衛に直接関わっていない陸上自衛隊に話が回るのでは・・・?というのも無くは無い話です。

THAADとイージスアショアの違いをおさらい

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