北朝鮮は29日5時58分頃、同国西岸から弾道ミサイル1発を北東方向に向けて発射した。

 ミサイルは北海道の襟裳岬の上空を通過し、6時12分頃に襟裳岬の東約1180キロ・メートルの太平洋上に落下したとみられる。

韓国合同参謀本部によると、北朝鮮軍は29日午前5時57分頃、平壌市順安一帯から、東方向に弾道ミサイルを発射し、日本上空を通過して太平洋上に落下した。飛距離は約2700キロ・メートルで、最大高度は約550キロ・メートルに達した。


政府によると、日本の領土への落下物は確認されておらず、迎撃措置は取らなかった。船舶や航空機への被害は確認されていない。政府は発射直後、全国瞬時警報システム「Jアラート」を通じて、北海道・東北などの住民に避難を促した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170829-00050006-yom-pol

北朝鮮ミサイルでJアラートが鳴ったらどうするか?

北朝鮮が7月4日、同国北西部から弾道ミサイル1発を発射した。ミサイルは約40分間、約930キロ・メートル飛行し、日本海の日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。緊迫化する北朝鮮情勢を踏まえ、ミサイルが日本に落下する恐れがある場合、避難を促す全国瞬時警報システム「Jアラート」による警報音が鳴らされることになっている。その警報を耳にしたら、私たちは、どのように行動すればいいのか。危機管理に詳しい福田充教授に解説してもらった。

北朝鮮による弾道ミサイル発射は2017年に入り、その頻度を増しています。多様なミサイルを作り出すという技術的な進化を遂げ、その脅威は増加しています。こうした北朝鮮の姿勢に対し、今年4月にはアメリカのトランプ大統領が直接攻撃の可能性を示唆するなど、ミサイル危機が発生しました。また、7月にミサイルを発射した際には、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発に成功したと発表しました。

 そんな中で、日本政府は国民保護の観点から、Jアラートを利用したミサイル警報についての広報活動に力を入れています。

実際にミサイルが発射され、Jアラートが発動されたとき、私たちは自分の身を守るためにどのような対応行動をとればよいのか、考えたいと思います。


Jアラートの警報ってどんな音?

 Jアラートはミサイルだけに対応しているわけではありません。

緊急地震速報や津波警報などの自然災害に関する警報、原発などの重大事故に関する警報、テロやミサイル、空襲などの国民保護事案に関する警報を含む総称です。それぞれの危機に対して多様な方法で情報伝達するためのシステムがJアラートです。

 このJアラートの警報は、電子的な警報音のあとに、短い文章で警報の内容、メッセージを知らせるアナウンスが流れます。警報音とアナウンスは、内閣官房の国民保護ポータルサイトで聞くことができます。

 実際にミサイルが発射されたとき、すみやかに対応するためには、Jアラートの警報音とメッセージの内容について、事前に確認しておくことも重要です。

Jアラートのメール受信を登録

Jアラートを管理・運営しているのは消防庁です。Jアラートによる緊急情報は、防災行政無線の屋外スピーカー、屋内個別受信機のほかに、ほとんどの携帯電話・スマートフォン、国民保護計画で指定されているテレビ放送やラジオ放送で流れます。

 自宅や職場の周辺で、防災行政無線の屋外スピーカーが聞こえる環境にあるかどうかを確認することは重要です。自宅や職場にJアラートの個別受信機がない場合は、自治体が発信するJアラートの携帯メールを受信できるよう事前登録を勧めます。

 Jアラートの警報を聞くことができなければ、万一の場合に必要な行動が遅れてしまう可能性があります。

避難行動は時間との闘い

ミサイルに対する避難行動は時間との闘いです。

 北朝鮮からミサイルが発射された場合、日本の領土に着弾するまでの時間は、北朝鮮からの飛行距離やミサイルの種類などにもよりますが、5分~10分程度とみられています。

 例えば、関東地方なら、7分程度でミサイルが着弾すると想定されます。その7分間にどのタイミングでJアラートが情報発信でき、住民に届くかが重要な鍵になります。

 ミサイルが発射されたことを探知したアメリカ軍の軍事衛星や海上自衛隊のイージス艦の情報は、まず日本の防衛省に伝達され、その後、首相官邸の危機管理センターに伝わります。そこから消防庁に情報伝達され、Jアラートのシステムが起動して、該当地域の自治体に伝達され、そこから地域の防災行政無線を通じて住民に伝わります。これがミサイル発射におけるクライシス・コミュニケーションの過程です。

 ミサイルが発射されてから、Jアラートで住民に情報伝達されるまでに、もし5分かかったら、関東の場合、住民が避難するために残された時間は約2分しかありません。情報伝達に、もし8分かかったならば、ミサイルが着弾した後にJアラートの警報が鳴るという最悪の事態も考えられます。たとえ、Jアラートの警報が間に合ったとしても、対応行動に残された時間は長くても2、3分程度だと覚悟しておいたほうがいいでしょう。

 この時間との闘いの中で、私たちはどのような行動をとることができるでしょうか。

熱風、爆風、放射線から身を守る

ミサイル発射によるJアラート発動で、警報音を耳にしたら、まず命を守る行動をすることを考えなくてはなりません。ミサイルに装備された弾頭の種類によって被害の大きさは異なると考えられます。想定される弾頭の可能性は、爆弾による通常弾頭、核兵器、化学兵器、生物兵器などがありますが、可能性が高いのは通常弾頭と核兵器です。

 しかしながら、Jアラートでミサイル警報が流れたとき、弾頭の種類が何であるかを知ることはできません。よって、核弾頭であっても通常弾頭であっても、できる限りの避難行動をとる以外にありません。例えば、核弾頭による被害は、熱風、爆風、放射線が考えられます。これらの被害を軽減するために、限られた時間で最大限できることを行うことが必要です。爆風や熱風、放射線に直接自分の体がさらされる状態を避けなくてはなりません。

 そのためには、屋外にいるより、近くの頑丈な建物内に避難するほうが良いでしょう。そして、地上にいるよりは、地下鉄や地下街にいるほうが安全です。屋内にいる場合は、爆風で破損する恐れのあるガラス窓から離れてください。放射性物質や熱風から身を守るため、遮蔽性の高い部屋に避難することが必要です。

 もし、屋外にいて、周りに建物や身を隠すところがなければ、身を伏せ、持っているカバンなどで頭を守ることが大事です。

繁華街を歩いていたら……

 具体的なケースで考えてみましょう。

 学校にいる児童や生徒たちは、グラウンドなど屋外にいる場合には速やかに校舎の中に避難することが必要です。校舎の中で最も新しく頑健な建物が望ましいでしょう。もし、建物に地下階があれば、そこへ避難することが求められます。地上階であれば、カーテンを閉めて、窓から離れることが必要です。

 こうした行動は、職場のオフィスビルや工場で働いている場合でも、基本は同じです。病院にいるときでも、ショッピングモールで買い物をしていても、ライブ会場やスポーツ競技場などでも応用可能です。

 繁華街を歩いている場合には、周辺の建物の中で一番新しく頑健そうな建物を探してその中に避難することをまず優先します。もし、その建物に、地下施設があれば地下階に向かうことが大切です。

 飲食店が多い繁華街では、火災が発生する可能性もあります。炎や煙から身を守ることも考えなくてはなりません。煙を吸って一酸化炭素中毒になることを避けるために腰を低くしながら、口をハンカチなどで覆って冷静に避難することが大事です。

公園で子どもと遊んでいたら……

広い公園で遊んでいて、近くに頑丈な建物やビルがなければ、公園のトイレや倉庫などの小さい建物でもかまわないので身を隠すことが大事です。身を隠せるぐらいの大きめの遊具があれば、そこに身を潜めるのも爆風を逃れるには役に立つでしょう。

 小さい建物やブロック塀などは崩れる恐れがあり、その下敷きになり埋もれる危険性があります。しかし、爆風や熱風が体を直撃するよりは、それらに身を隠すことで生存の可能性は高まります。

 広い敷地で農作業をしている場合も同じです。身を隠すものが何もなければ、少しでも段差のある土手の傾斜や用水路の溝などに身を隠すことが必要です。もし、コンバインなどの大型の農機具があれば、その下に隠れることで被害を軽減することができると思います。

車を運転していたら……

 車の運転をしているときに、携帯メールやラジオからJアラートが聞こえた場合、速やかに車を止めて、近くの頑丈な建物やビルに避難することが大事です。もし、近くに建物がなければ、停車後そのまま車から出ずに、車中で身をかがめて備えるしかありません。車外よりは車内のほうが安全です。

 地下鉄など電車に乗っている場合には、Jアラートにより電車は停車するため、そのまま電車の中で待機することを求められます。地下鉄であれば、ミサイル攻撃の被害から守られる可能性が高いため、車内アナウンスなどに従い、落ち着いて待機することが必要です。

 ミサイルが発射された場合、私たち国民がJアラートの警報に接する状況は多様です。それぞれが、どう対応すべきか、自分で考えて、臨機応変に行動することが求められています。

 こうしたクライシス・コミュニケーションは時間との闘いです。私たちが対応行動をとることができる時間は数分にすぎません。その数分間でどうやって自分の命を守ることができるか、一人ひとりが事前に考えて備えることが求められています