著書「帝国の慰安婦」で虚偽の記述をし、元慰安婦の名誉を傷つけたとして名誉毀損(きそん)罪で在宅起訴された韓国・世宗(セジョン)大の朴裕河(パク・ユハ)教授に対する控訴審判決で、ソウル高裁は27日、「歴史的事実をねじ曲げ、被害者たちに大きな精神的苦痛を与えた」として、1審の無罪判決を破棄し、罰金1000万ウォン(約100万円)の有罪判決を言い渡した。判決後、朴教授は記者団に対し「大変不当で遺憾だ」と述べ、上告する方針を明らかにした。

 高裁は、旧日本軍の従軍慰安婦を「性奴隷」と表現した1996年の国連報告書(クマラスワミ報告)などを根拠に、朝鮮人慰安婦は自らの意思に反して連行されたことが明らかだと指摘。著書の「元慰安婦は根本的に『売春』のくくりにいた女性たち」などを虚偽と認定した。そのうえで「大半の朝鮮人慰安婦が、まるで自発的に性売買をして日本とともに戦争を遂行したと、読者に受け取られる」とし、名誉毀損の意図があったと認定した。

 一方、朴教授が慰安婦問題に関する従来の解決方法を批判する中で事実がねじ曲げられたとみられるとし「被害者を誹謗(ひぼう)したり苦痛を与えたりする目的はなかった」と判断、朴教授の主張を一部取り入れた。また「学問や表現の自由は保障されるべきだ」として、誤った考えか否かは司法が判断する問題ではないと付け加えた。

 著書をめぐっては、元慰安婦らが2014年6月、朴教授を刑事告訴し、検察が15年11月に在宅起訴。検察側は懲役3年を求刑したが、ソウル東部地裁は今年1月、無罪を言い渡した。

 1審判決では、検察側が主張した名誉毀損にあたるとの表現について、大半は「資料の分析や評価であって具体的な事実関係を示したと見るのは難しい」と判断。事実関係の提示にあたる部分も、告訴した元慰安婦を特定していないなどとして、いずれも名誉毀損にはあたらないとしていた。控訴審で検察側は今年9月、1審通りの求刑をした。

「帝国の慰安婦」著者に有罪判決 1審の無罪破棄