トランプ大統領の誕生をいち早く予見していた気鋭の評論家が、日本を取り巻く世界情勢の「変動」を即座に見抜き世に問う!

◆安倍外交の凄さを理解していない日本

 11月5日、アメリカのトランプ大統領の初来日を前に、改めてトランプ大統領と安倍首相の親密さが話題になっている。

 例えば、9月21日、国連総会に続いて実施された日米韓三か国の協議の席上でトランプ大統領は安倍首相の誕生日を祝福した。このトランプ大統領の行動はツイッターで全世界に広がり、大きな話題になった。なぜそれほど安倍首相はトランプ大統領から大事にされるのか。先月、訪米して米軍の関係者たちと話をして、その理由がわかってきた。

 あるレストランで議論をしたときのことだ。米軍の元情報将校は「トランプ政権にとって最大のパートナーが安倍政権だ」と強調した。

「今日はこちらの奢りだからと言って、そんなリップサービスをしなくていいよ」と笑っていたら、その元情報将校は「日本人自身が安倍外交の凄さをわかっていないことが問題なんだ」として、こう解説したのだ。

「我々は現在、アジア太平洋方面では二つの大きな脅威に直面している。短期的には北朝鮮。長期的には中国だ」

 そして北朝鮮と異なり、中国は圧倒的な経済力を持っていて、いくら脅威であっても中国と紛争することはできないというのが彼らの認識なのだ。中国はすでに数百発のミサイルを日本列島に向けて発射できるよう準備を済ませており、そのミサイルに核爆弾も搭載可能だ。

 トランプ政権は当初、中国の軍事的経済的台頭を抑えるため、ロシアと組もうとしたが、ロシアとの関係改善は進まず、次善の策としてASEAN諸国やインドと組もうとした。

 ところが、中国側に先を越されていた。

 中国は2014年11月、一帯一路構想といって「シルクロード経済ベルト」と、「二十一世紀海上シルクロード」を構築すべく、アジア諸国に対して徹底的な経済支援を実施している。この「買収」工作のため、ASEAN諸国の多くはいまや「中国批判」を口にしないようになってきているのだ。

 それでなくともASEAN諸国は、ヘッジファンドなどの投資家によって振り回されてきた過去があるため、アメリカに余りよいイメージを持っていない。インドも独立以来、非同盟といってアメリカともソ連とも同盟を結ばずに独自の道を歩んできたため、さほどアメリカとは関係がいいわけでもない。

 しかも今年1月に発足したトランプ大統領は、国務省幹部と仲が悪い。このため国務省の主要人事でさえ未だに決まっておらず、アメリカ外交は余り機能していないのだ。

 そもそもトランプ大統領自身が国際政治の分野で友達が少ない。かくして途方に暮れていたトランプ政権の対アジア戦略を支えているのが、安倍首相なのだ。

◆日本はアジア太平洋の安全保障の要

 安倍首相は第二次安倍政権が発足した2012年、「セキュリティ・ダイアモンド構想」を発表している。中国の脅威を念頭に、日米同盟を広げて東南アジアやオーストラリア、インドに至るまでの連携網を構築しようというものだ。

 この構想に基づいて安倍首相はこの5年近く「地球儀を俯瞰する外交」と称して世界中を奔走してきた。特にASEAN諸国やインドとの外交を押し進め経済のみならず、安全保障面での関係強化を図っている。

 この安倍首相の活躍のおかげで、トランプ政権とASEAN諸国、インドとの関係改善も進んでいるのだ。元情報将校はこう強調した。

「インド太平洋地域で果たすべきアメリカの役割が不明確になっているなかで、代って日本がこの地域でより大きな役割を果たすようになってきている。特にアメリカは昔からインドとの関係は複雑で微妙な面があるが、日本がインドとの関係を強化してくれているので実にありがたい」

 米軍関係のあるシンクタンクの研究員も南シナ海への中国「侵略」を念頭に、こう強調した。

「南シナ海問題が起こり、日本は経済協力を通じてフィリピンやベトナムへの関与を強め、巡視船の供与などによって日本は法の支配を広げていこうとしている。こうした経緯を見れば、アメリカからすると、日本はアジア太平洋の安全保障の要となっていると認識している」

 インド太平洋地域の安定と平和を守るために現在のような戦略的な安倍外交がなくてはならないと、米軍関係者は認識しているわけだ。

 日本はこれまで「アメリカの言いなり」「対米従属だ」と批判されてきたが、今や安倍首相の対アジア外交にアメリカが乗ってきているのだ。

◆北朝鮮有事に連動して尖閣占領も

 もっとも課題もある。日本の防衛体制の不備、特に防衛費の不足だ。

 帰国後、議論をした一人から電子メールで10月6日付「アジア・タイムズ」に載ったG・ニューシャム氏の原稿が送られてきた。海兵隊幹部や外交官を歴任した知日派である彼は、こう警鐘を鳴らしている(邦訳は海外ニュース翻訳情報局)。

「米国政府は日本の期待していることを明確に認識する必要がある。北朝鮮が東京にミサイル攻撃を行えば、米国は必ず激しい対応を行う。中国の侵略部隊が九州に上陸したら? 同じことだ。

 しかし、北朝鮮のミサイルが五十マイルの沖合に落下した場合や、日本の田舎の住民のいない場所に落ちた場合はどうだろうか? あるいは、中国の漁民が尖閣に上陸して退去を拒否し、中国海軍がすぐ近くで日本に干渉するなと警告していたら? このようなぎりぎりの問題でも、日本は米国に武力の行使を含めて徹底的な支援を期待している」

 北朝鮮有事に連動して尖閣諸島に国籍不明の漁民たちが上陸し、近くにいる中国の軍艦が日本に「干渉するな」と警告してきたら、日本は、アメリカはどうするのか。こうした微妙な問題について日米首脳はしっかりと詰めておかないと、中国にしてやられるぞと警告しているのだ。

 それでなくともアメリカの政治家の大半は、極東の「島」のために米中が戦争をすることなどあり得ないと考えている。日本の領土なのだから、米軍などに頼らず、日本がしっかりと守るべきだということだ。

 防衛に対する本気度は予算でわかる。予算は国家の意思なのだ。

 トランプ政権は北朝鮮有事を念頭に前年比で約7兆円増の68兆円に増やす防衛予算を国会に提出、この7月27日、可決した。防衛予算を大幅に増額することで「このまま核開発を進めるならば北朝鮮を全面攻撃するぞ」と、その本気度を示したのだ。

 ところが日本は昨年、防衛費は数千億円増やしただけで、その総額は僅か5兆数千億円に過ぎない。ミサイル防衛体制も尖閣防衛体制もさほど強化していない。このため、「日本は本気で自国を守るつもりがあるのか」と不信感を抱く米軍幹部もいる。

 そこでニューシャム氏は、米軍の不信感を取り除くためにこう提案する。

「日本は防衛費をもっと増やすことで米国の完全な支援の見込みを増やし、米国と日本のすべての軍隊の間で協力関係を向上することができる」

 日米同盟こそがアジアの平和を守る最大の公共財だ。その公共財を守るためには、憲法改正だけでなく、防衛費をせめて先進国並みのGDP比2%、つまり10兆円規模に増やすことが必要ではないのかと、ニューシャム氏は説いているのだ。こうした米軍側の議論を正確に理解すべきだ。

Japanese Prime Minister Shinzo Abe (L) and U.S. President Donald Trump shake hands following their joint press conference at the White House in Washington, U.S., February 10, 2017. REUTERS/Jim Bourg TPX IMAGES OF THE DAY


 その上で「日本も自国を守るつもりがある」ことを予算で示すことが「国難突破解散」で、衆議院の3分の2(310議席)を上回る313議席を与えられた連立与党の責務であろう。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171025-01419902-sspa-soci&pos=1


みんなの意見


j
江崎道朗氏の指摘は正しいと思います。全面的に賛成します。間違ったことはひとつも言っていないです。国防問題に関して日本の本気度を世界中に見せないと、敵国や他国に対して間違ったシグナルを出すことになると思います。『週刊SPA!』なのでどうせくだらない記事だろうと思って読んでいましたが、とても素晴らしい批評文だったので嬉しい驚きを感じています。はい、恐れ入りました。

日本を守ろう!
防衛費を増額する為の増税なら、私は甘んじて受け入れる。

中西部コロニャド
米国で暮らしていますが、良く調べ自分の仕事をきちんとしている評論家と感じます。ためになりました。

名無しさん
GDPの2%くらいの防衛費は必要なんだろな。

名無しさん
日本国民は朝日や毎日・韓国紙を読まず、江崎氏のコメントを読もう。
代議士は上手下手はともかく、禊をしている。やれてないのがメディ
ア各社。テレビ局など各局輪番制で8時間操業に縮小すればいい。

としより
国防のための消費税upなら
15%までは我慢する。
晩飯のおかずを一品削るだけだ。

名無しさん
自分で自分を守る当たり前の国になろう。

名無しさん
その前に1000兆円の借金がありますからなー。
で、それだけつぎ込んでも勝てないし。
無意味。
さらに言えば、日本が赤字覚悟でもっとつぎ込むなら、中国はさらにつぎ込むだろう。
で、儲かるのはアメリカ。