◇「まさに日本の味」

 日本の伝統食「納豆」が北朝鮮の首都平壌で人気を呼んでいるという。個包装のパッケージ詰めの納豆が製造できる「納豆工場」を映した北朝鮮発の動画ニュースが6月に確認され、平壌に暮らす日航機「よど号」ハイジャック事件のメンバーも今月、支援者向けの機関紙で「まさに日本の味」と絶賛。食べ過ぎて検査入院したほどだ。日本の庶民の味・納豆が北朝鮮で広がっていることは間違いなさそうだ。【岸達也/統合デジタル取材センター】

 ◇最新鋭の納豆工場 日本式パッケージが国際化

 北朝鮮当局が宣伝目的に運営に関わっていると見られる動画サイトに今年6月、最新鋭の納豆工場に関するニュースが掲載された。コンピューター制御されたとみられる工場で、大量の納豆のようなものが次々に個食用に包装される様子がニュース映像にまとめられ、人気動画サイト、ユーチューブにも転載された。よく見ると、カラシやたれのようなものも、個食サイズの豆の塊と一緒に四角い白いケースに包装されているのが分かる。

 国内130超の納豆製造業者が加盟する、全国納豆協同組合連合会(納豆連、東京都)によると、優良なタンパク源である大豆の発酵食品は、やや日本と形態が異なったり、風味が違ったりするものも含めれば東南アジアやアフリカなど世界各地にある。日本のスーパーマーケット店頭でおなじみの個食向けのパッケージ包装は、実は日本発祥の販売方法といい、40~50グラム程度の納豆がたれやカラシ入りで冷蔵販売される形で普及している。

 こうした日本式パッケージ納豆も徐々に“国際化”が進んでいる。海外に暮らす邦人向けには国内で製造された納豆が冷凍されて運ばれるのが一般的だった。だが、10年ほど前から韓国や中国には、個食用に包装できる納豆の製造機械が輸出されるようになり、「日本式納豆」が現地の一部で生産から冷蔵販売まで広まって人気という。納豆連の関係者は「北朝鮮にも製造機械が中国などから輸入された可能性がある」とみる。

 ◇よど号事件の赤木志郎容疑者 「毎日がむしゃらに食べた」

 北朝鮮の納豆は果たしてどんな風味なのだろうか。なかなか記者の入国が許されない国だが、風味に関する貴重な証言を偶然、発見することができた。

 「納豆の食べ過ぎ」--。1970年に日航機「よど号」をハイジャックし、北朝鮮に渡ったよど号グループ。彼らの帰国支援を目的とする機関紙「かりはゆく」に今月、ハイジャックを実行した赤木志郎容疑者(69)=ハイジャック事件で国際手配中=名で、こんなタイトルの身辺雑記が掲載された。

 「ピョンヤン便り」というコーナーに、短行で食欲の秋の失敗談として紹介され、最近、腹痛などで検査入院したという。原因は「納豆をよくかまずに食べたこと」と記されている。本当に納豆の食べ過ぎで腹痛が起きるのかは不明だが、風味に関してはこう記されていた。「納豆工場が出来たので買ってみると、それはまさに日本の味だった。喜んで毎日がむしゃらに食べたのがよくなかった」。平壌でおなかいっぱい納豆が買えるようになり、実行犯も望郷の念を募らせているようだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171029-00000013-mai-kr