真っ黒に日焼けした中国人船員9人が微動だにせずに我々を見つめていた。船員2-3人は鉄パイプのようなものを手にしており、冷や汗をかいた。隊員7人が船員を全て船首に集め、海に向かって立てと命じた。巡警は「船員に凶器で後ろから襲撃されることがあるため、海側を向かせた」と説明した。

■「漁獲量ゼロ」のはずが…
 船長がいる操舵室で帳簿を確認した結果、「漁獲量ゼロ」と記載されていた。このため、船内に漁獲物が少しでもあれば違法操業となる。隊員は本格的に船内を捜索した。漁船には中国大連市の港に所属し、韓国政府の許可を受けて操業していた。韓国と中国は両国の排他的経済水域(EEZ)の一部を暫定措置水域として定め、相手国のEEZでの操業を認める「韓中漁業協定」を結んでいる。韓国側海域で操業する漁船の年間漁獲量は網の種類にもよるが、1隻当たり11-30トンと決まっている。それを超えれば操業を継続できない。しかし、故意に漁獲量を過小記載し、違法操業するケースが相次いでいる。

 船員が厚い板でできた船倉を開けると、約2メートルの深さがある内部は氷に満たされていた。別の船員がはしごで内部に入り、保管されていた箱を取り出した。箱にはイシモチとタチウオが詰められていた。少なくとも200個はありそうだった。帳簿と漁獲物の確認、証拠収集作業が続いた。船は揺れ続け、吐き気がした。隊員は無線で「操業日誌に漁獲量を過小記載した疑いあり」と警備艦に報告した。艦長(54)は「漁船を拿捕(だほ)し、船長と船員2人を警備艦で取り調べろ」と指示した。記者は約2時間後、船長と船員1人を乗せたボートで警備艦に戻った。トイレに直行して吐き続ける羽目になった。

■危険な取り締まり現場
 海洋警察はすぐに中国漁船の船長を操舵室につれていき取り調べた。船長(39)は「別の船で取った魚を保管していた」「中国側で取ったものだ」と容疑を否認した。しかし、船員らの供述と証拠資料を示されると、規則違反を認めた。それによると、大連を先月8日に出港し、韓国側海域で操業を行い、イシモチを1日に約3.1トン取っていたにもかかわらず、漁獲量を600キログラムとする虚偽報告を行っていた。

 事件の送致を受けた光州地検木浦支庁は10月15日、中国漁船に担保金1500万ウォン(約149万円)の支払いを命じた。外国の船主は担保金を支払わなければ、違法操業で拿捕された船舶とその積み荷の返還を受けられない。船長と船員は警備艦に拘束され、担保金が支払われたことが確認された10月16日正午に釈放された。

 海洋警察は2014年のセウォル号沈没事故当時、人命救助が不十分だったという理由で解体され、国民安全処に統合された。しかし、海洋警察の弱体化で中国漁船の違法操業が急増。昨年10月には海洋警察の拘束ボートが違法操業中の中国漁船による集団攻撃を受け、沈没する事故まで起きた。海洋警察は抵抗する違法操業漁船に対抗するため、共用火器による自衛権を発動すると発表した。その後は激しく抵抗する中国漁船は減った。しかし、竹やりや鉄パイプのようなもので襲ってくるケースは依然としてあるという。

 記者と同じ船室を使っていた女性の警長(35、巡査の上級クラス)は率直に「中国漁船の取り締まりに向かうのは嫌いだ。本当に死ぬかもしれない」と仲間内で話しているという。警長はそれでも「どうすることもできない。海では逃げ場がない。黙って耐えるしかない」と語った。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171102-00002079-chosun-kr&p=2