北朝鮮の核・ミサイル危機の陰に隠れて、韓国の「反日ファースト」が着々と進んでいる。慰安婦問題を終わらせないと息巻く韓国の今を、評論家・ジャーナリストの室谷克実氏が分析する。
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 9月下旬に韓国の国会は、毎年8月14日を「慰安婦被害者をたたえる日」とする法案を可決した。併せて2019年に「慰安婦被害者研究所」を設置し、2020年に「慰安婦被害者歴史館」を建設する方針だ。

 同じく9月下旬に韓国の女性家族省は国立墓地「望郷の丘」に慰安婦追悼碑を設置する計画を発表した。年内に完成させて、来年6月6日の「顕忠日」(戦没者の追悼記念日)に除幕式を行う予定という。

 韓国中部にある望郷の丘には43人の元慰安婦の墓とともに「朝鮮半島で女性を強制連行した」と偽証した故吉田清治氏が建てた謝罪碑がある。そんな場所に「官製慰安婦碑」が建てば、望郷どころか「嘘まみれ」の丘が出来上がる。

◆「慰安婦問題は終わらせない」

 一連の反日政策は、慰安婦記念事業の主管官庁である女性家族省トップの鄭鉉栢(チョンヒョンペク)氏が旗振り役を務める。

 学生運動出身で左翼系市民運動団体「参与連帯」の共同代表である鄭氏は筋金入りの運動家だ。閣僚に就任する前は、元慰安婦が毎週水曜日にソウルの日本大使館前で行う抗議デモ(水曜集会)に参加して、日本政府に公式謝罪を求める演説を行っていた。

 文政権に入る前の事前審査では、「閣僚になっても水曜集会に出席したい」と明言した。就任直後には元慰安婦の女性10人が共同生活する「ナヌムの家」を訪問し、慰安婦関連資料のユネスコ(国連教育科学文化機関)世界記憶遺産への登録に政府予算を拠出する意向を示した。

 こんないわくつきの人物を慰安婦問題を管轄する女性家族相に任命することからも、文政権が慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年末の日韓合意を遵守する気がサラサラないことは明白だ。
事実、鄭氏を指名する際に青瓦台(大統領府)の報道官は指名理由として、「慰安婦合意の再交渉を担える人材だから」と口を滑らせた。韓国メディアがこの発言を一斉に報じると、報道官は1時間も経たないうちに指名理由を撤回したが、文政権として日韓合意の再交渉をめざすという本音が露呈した瞬間だった。

 ただし国と国との合意を韓国側から「やめた」とは言い出せないので、文政権はタスクフォースを設置して交渉の経緯や内容を調査して年内に検証結果を発表する予定だ。再交渉に日本が応じる可能性はゼロなので、検証結果を口実にして韓国側が「慰安婦合意は白紙に戻す」と宣言することは十分にあり得る。

●むろたに・かつみ/1949年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、時事通信社に入社。政治部記者、ソウル特派員などを歴任。退社後、評論活動に入る。近著に『崩韓論』(飛鳥新社)など。

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