お酒と香草の良い香りに混じって、ヘドロのような臭いが……
 見た目は美味しそうだ。ただ、お酒と香草の良い香りに混じって、さきほど嗅いだヘドロのような臭いが漂っている。

「遠慮せずにどうぞ」

 運転手は笑顔でそう勧めてくれたものの、通訳の林氏はアイコンタクトで強いNGサインを私に送っていた。
となると、「ヘドロアサリ」の味を読者に伝える役目は自分しか果たせない。
覚悟を決めて、アサリをいくつか一気に食べてみた。
味付けは上手だったが、砂抜きもされておらず、口の中でジャリジャリと音がした。
そして、思ったとおり強烈な異臭が鼻を突く。

 思わず吐きだしそうになったが、嬉しそうに見ている運転手が視界に入った。
彼は茹でたシャコ貝やアサリの酒蒸しを美味しそうに次々と口に入れていた。
余計に気持ち悪くなって、私は手元にあった中国ビールで、アサリを強引に胃の中へ流し込んだ。

 夕方、ホテルへ戻ると、断続的な吐き気と腹痛に襲われた。
厚生労働省が発表している「輸入食品違反事例」によれば、摘発されるアサリの「不適格内容」は「大腸菌群」が散見される。
ただ、昼に食べた「酒蒸し」は、火を通して菌が死んでいるはずではないのか。
加熱処理が不十分だったか、それとも腐敗していたのか。理由は不明だったものの、翌朝まで下痢でトイレから離れられなくなった。

 無論、このような事態は想定していた。日本から持参した「ラッパのマーク」の下痢止めが、心強い味方となってくれたため、なんとか病院へ駆けこまずに済んだ。同じアサリを食べた運転手は次の日も元気そうだった。自分は胃腸が虚弱なのか、10日間、腹痛に苦しむことになったのである。

 ひどい目に遭ったが、日本にも中国産アサリは多く輸入されている。

食べて一晩中トイレから出られなかった中国産「ヘドロアサリ」の恐怖
なじみ深い「アサリの酒蒸し」や「ボンゴレビアンコ」も中国産
 アサリの輸入量は、2004年が約5万2000トン。2012年は約3万5000トンに下がったが、7割が中国産のアサリだ。
安い飲食チェーンの「アサリの酒蒸し」や「ボンゴレビアンコ」など、日本人にもなじみの深い料理に使われている。

 厚生労働省が発表している「輸入食品違反事例」(2012年度)を見ても、水産物や水産加工物で最も違反が多かったのが、アサリだった。

 2016年度の「輸入食品違反事例」を表にまとめたので見て欲しい。

「不適格内容」の中で気になるのがプロメトリンだ。これは大根畑などで使われる除草剤だ。

 食材によって異なる場合も多いが、食品衛生法を見ると「人の健康を損なうおそれのない量」は、0.01ppmを基準としている。

 中国では、大量に使われた農薬が、畑から川へ流出し、近海に生息する貝類を汚染すると言われている。ところが、地元の中国人運転手が興味深い証言をした。

「除草剤は海に直接まくんだよ」

「ええ? うそでしょ」

「海に藻が繁殖すると、魚介類を獲りづらくなったり、養殖しているひじきやノリに悪影響が出るからだよ。除草剤をまけば、邪魔な藻をすぐ取り除くことができるんだ」

 実に腑に落ちる説明だった。だから海中のアサリにプロメトリンが残留するのか。表中にも違反の原因として「近隣のなまこ養殖場で散布された除草剤による汚染」とある。

 こうして、川から流れてくる工場などからの汚染物質も加わり、中国の水質汚染はどんどん進むのだろう。日本政府は摘発だけでなく、除草剤を海にまく中国人の愚行をやめさせる努力をしてほしいものだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171107-00004807-bunshun-int&p=2