ハロウィーンの10月31日、兵庫県の指定暴力団山口組の組員らが神戸市灘区の総本部で菓子を配った。兵庫県警は「青少年に悪影響を与える」として山口組側に再三中止を要請したが、約800人が行列。神戸地裁が同日、指定暴力団神戸山口組に対し本拠地事務所(淡路市)使用禁止の仮処分を認めるなど、県内では暴力団排除に向けた動きが盛り上がっているだけに、暴力団追放運動の関係者からは「暴力団に寛容な雰囲気が広がるのでは」と危機感を募らせる。


31日午後4時、総本部駐車場はカボチャの巨大模型やイルミネーションで彩られ、お化けなどに仮装した組員が子どもたちに菓子詰め袋を手渡す。保護者らしき大人も受け取っていた。

 捜査関係者によると、県警は4年前に山口組によるハロウィーンイベントを確認。分裂騒動のあった2015年を除き毎年開かれている。設営など今年は一層豪華といい、訪れた人数も過去最多とみられる。

 暴力団追放に取り組む「灘区を明るくする区民運動連絡協議会」の男性役員は「会合などで参加しないよう呼び掛けていたのに」と落胆する。

 ただ、「異例の大盤振る舞いは、焦りの裏返しではないか」とも。

 分裂騒動後、総本部周辺では住民らが「暴力団追放」の看板を掲げ、県警が常時監視する特別警戒所を設置。昨年8月の追放パレードでは、約200人が「解散せよ」との掛け声を総本部へ響かせた。

 今年10月20日、福井地裁が山口組系事務所の使用禁止を認める仮処分を決定。神戸地裁でも同様の決定が出ることが予想されていただけに、男性役員は今回のイベントについて「そうした状況への危機感が影響したのでは」と指摘する。

 山口組総本部は1963年、3代目組長が住居を構え、80年代に起きた一和会との「山一抗争」では活動拠点となった。当時を知る80代の男性は「本当に物騒だった。今も、いつか事件に巻き込まれるのではないかと不安だ」と明かす。

 一方、イベントに訪れた多くは抗争を知らない世代だ。30代女性は「物心が付いた時から身近にあるので怖い印象はない」と言う。

 県警によると、暴力団からの物品受け取りを禁じる条例などはないという。ただ、今回は子どもを巻き込んだイベントだけに、県警幹部は「犯罪収益を原資とする暴力団から便宜を受けて本当にいいのかどうか。大人たちは考えてほしい」とくぎを刺した。

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