日本を海へ「沈める」など、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)政権が挑発的な言動を繰り返す中で漂う緊張と不安は、
多くの在日コリアン、特に生まれてから日本でしか生活したことのない若い世代にとって葛藤を抱かせるものとなっている。

 朝鮮学校の生徒のひとり、ファン・ソンウィさん(17)は「複雑な気持ち」でニュースを見ているという。
双方からの報道について「どっちも信じてどっちも疑う」みたいな感じだと述べた。

 北朝鮮情勢によって在日コリアン社会に怒りが向けられるのは新しいことではない。
拉致問題が決定的に世論を変えたと、東京を拠点に活動する弁護士の李春煕(リ・チュニ、Ri Chun-Hui)氏は言う。
1970年代から80年代にかけて北朝鮮の工作員が日本から多くの民間人を拉致していたことが明らかになっている。

「かつて朝鮮民族は日本の植民地支配の被害者という存在だった。
それが拉致問題によって、朝鮮が加害者で日本国が被害者であるというようなイメージばかりが増幅されるようになってしまった」と李弁護士は言う。
「北朝鮮と名のつくものにはどんな攻撃をしてもいいという世論が広がっていった」

■「同じ民族」
 子どもに朝鮮半島の言語や歴史を学ばせたいと思う在日コリアンの親にとって、自分たちの政治的信条はどうあれ、朝鮮学校はほぼ唯一の選択肢だ。

「日本人ではないから、朝鮮学校に行って言葉であったり民族心であったり、そういうものを身につけてもらいたい」と言うのはファンさんの母親のオウ・ジョンエさんだ。

「根本的に朝鮮も韓国もない、元々一つの民族なので同じと思っているんですよ」と言うオウさんは、共通の祖先をもつコミュニティーにとって朝鮮半島の分断はあまり関係がないと感じている。

 朝鮮総連のある幹部によると、北朝鮮政府は1957年以降、日本の朝鮮学校を支援するため計480億円もの資金を注いできたという。
だが、困窮している北朝鮮が現在も出資しているかどうかは不明だ。

 朝鮮学校の教室で生徒たちは金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)国家主席や金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の肖像画に見下ろされている。
しかし歳月とともにイデオロギー教育は影をひそめ、言語や歴史についても比較的中立的な授業が行われている。

 朝鮮学校に通うファンさんはいまサッカーに夢中だ。サッカー部に所属し、ポジションはゴールキーパー。
夢はJリーグのプロ選手になることだという。

 そしていつの日か、北朝鮮のユニホームを着てプレーしたいと思っている。
「朝鮮の代表、いずれは国を背負ってやっていけたら」と語った。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171114-00000022-jij_afp-int&p=2


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