中国問題の論客として著名な評論家の石平(せきへい)さんが、今年4月に新創刊した有料メルマガ『石平の中国深層ニュース 』。
石平さんによると、中国の動きは日本人にとってもはや他人事ではなく「自分のために知るべきこと」と断言しています。
そんな石平さんに、多くの情報が錯綜している中国の情勢や最新情報を伺うべくインタビューを敢行。
中国の未来、アジアの未来、そして日本の未来を知りたいすべての人にとっては必読の内容です。

新聞では書けない中国の真相を伝えたい

中国と経済的に結びつくことは危険しかない
――今後、日本がアジアの中でとるべき道はどのようなものだと考えていますか?

日本にとって安全保障上の問題のまず一つが朝鮮半島、もう一つがやはり中国です。
北朝鮮問題はいずれ解決されるかもしれませんが、中国問題はもっと深く長くなり、政治経済、軍事の面、日本にとってたいへん重要な問題です。

要するに、中国とどう付き合った方が良いかということが、今後の大きな問題になるのです。
で中国の軍事的脅威に対し、日本の安全と平和をどう守っていくのか? 中国は南シナ海でも軍事拠点化を進めています。
南シナ海の問題も、日本の経済、存続に深く関わってくる問題です。

経済にしても、中国を中心に経済圏を作っていく一帯一路とか。そういう動きに対し、日本はどう対処していくのか?
完全に無視するのか、入っていって巻き込まれてしまうのか。
今の時代において、中国とまったく付き合わないというのは無理ですから、中国とどういう距離感をとっていくかが大事なのです。

国際戦略的には、まず日米同盟を機軸にして周辺の国々と連携して、アジアの平和と秩序、南シナ海の航海の自由を守ること。
これが日本の一番の国益になります。オバマ政権の時代は、アメリカと手を組み、TPPを進め、アジア全体の経済圏をまとめようとしていましたが、トランプ政権になってアメリカが離脱し挫折しました。
しかし、やはりアジアの民主主義の国々と日本は、共通した価値観や利益があります。
ですから、そういう国々と連携して、一種の自由貿易圏を作っていくことも大事です。
これからの経済は、日本単独で成り立つものではありませんから。

――中国とは、具体的にどのように付き合っていくべきなのでしょう? 

私の意見としては、経済の面においても、あまり中国と深い関係にならない方がいいと思います。
日本企業にしても深入りすれば、いろんなことが起きてくるでしょう。
中国とは一定の距離をおいて、むしろ周辺のアセアン諸国とかいろんな国々と経済の連携を強めていくべきです。

例えば、中国では今後、日本人が拘束されるというケースも増えてくると思われますが、この一点を取っただけでも、日本人はやはり、中国との距離を考えなければならないと思います。

私の親戚の中国人は最近、中国で会社を畳んで、財産をニュージーランドへ持っていきました。
社長である彼が言うには、お上の指示で、自分の企業の中に、自分の判断や考えと何の関係も無い共産党組織ができた。
しかも組織の中心人物は、彼が会社から最も追い出したかった人物だということです。もう追い出せない。

しかも、仕事をしたくない社員ほど、その共産党組織に入るそうです。入れば自らの保証になりますから。
首を切られることなく、おまけに社長よりも偉そうな顔ができるのです。
社長からすれば「何のためにこの会社を創ったのだ」ということになります。

実はそれは、中国国内企業だけの問題ではありません。今、中国共産党は外資企業を含め、すべての企業の内部に共産党組織をつくろうとしています。
例えば今後、日本企業が中国に進出すると、強制的に内部に中国共産党の組織ができてしまうのです。
工場の中にそういう組織ができてしまうと、後ろには中国共産党がいますから、場合によっては人事権や経営にも口出ししてくるようになります。
いずれは中国共産党に乗っ取られてしまうという可能性もあるのです。
そういう意味では、中国のビジネスは、企業にとってリスクが高いということをしっかり認識しなければいけません。

繰り返しますが、国としては、日米同盟を機軸にして周辺の国々と連携してアジアの平和と秩序を守る。
個人や企業としては、中国と関係を持つにしてもあまり深入りしないで、一定の距離を置くことでしょう。

「仲良くする」がいいことは、日本人だけの幻想

――中国に対して、仲良くしていくこと、しっかり手を組んでいくという方策は無いのでしょうか?

それもよく訊ねられる質問ですね。問題は、何のために仲良くするのか? ということなのです

日本人は「仲良く」とか、そういう言葉や話に弱い
しかし国と国では「仲良し」のための、仲良しは無いのです。どこの国も、国益が一番大事なのであって、仲良くするのも、しないのも手段に過ぎないのです。
仲良くした方が日本の利益になるのなら、仲良くした方が良い。しかし、逆の場合もあるのです。仲良くすること自体を、目的化してはいけないのです。

むしろ、これまで日本は仲良くしなければいけない、「日中友好」とか、そういう言葉に惑わされて大事なものをいろいろ失ってきました。
仲良くするために中国の無理な要求を飲む。仲良くするために日本の総理大臣は靖國神社へ参拝できない。
仲良くするために中国にODA(政府開発援助)を出さなければならない。仲良くするため日本人が失うものは多いのです。

私は決して、喧嘩すべきだと勧めているわけではありません、仲良くするでもなく、喧嘩するでもなく、一定の距離を保つ。
日本人が良く言う「俺とお前」の関係にはしない方がいい。いつまでも「私とあなた」という関係でいることです。
そうすることで逆に喧嘩も少なくなるのです。
人間同士の付き合いでも、うっかり友達になって近くなり過ぎると、逆に喧嘩することになるケースはよくあることです。

――石平さんが考えている、日本の改善すべき悪いところを教えてください。

まず、どこの国に対しても仲良くしなければいけないという固定観念、強迫観念に縛られているところですね。

もう一つは、外国と付き合う時、日本は何を守るべきか、ということに対する意識が薄いのです。
日本のプライドにしても国益にしても、絶対にこれを守らなければいけないというものが薄い。例えば、南京大虐殺とか慰安婦問題とか、
嘘に近いことを持ち出されて中傷誹謗されても、日本人はあまり怒らないのです。
そこは良くない。そして、謝り過ぎます。

もう一つ、日本人が気を付けなければいけないことは、日本社会は長い歴史の中で信頼する社会ができあがっています。
腹を割って話をすれば相手も分かるだろう、こちらが相手に対し配慮すれば相手も配慮してくれるだろう、という暗黙の前提があります。

しかし、これは日本社会の中でしか通用しないものであって、国際社会では正反対なのです。
とくに相手が中国や韓国ですと、こちらが一歩譲れば相手が逆に一歩迫ってくる。配慮すれば、逆に配慮自体がこちらの弱さだと受け止められ、突っ込まれてしまう隙となる。
ですから、国際社会においては、日本人はあまり日本社会の中の論理を持ち込まない方が良いのです。

――習近平政権は、近く崩壊の可能性はあるのでしょうか?

それはありません。

共産党前総書記・前国家主席の胡錦濤とお互いに良いところを取り合って、党大会を乗り越えるでしょう。
今後は習近平と胡錦濤の連合政権的な形に持っていくのでしょう。政権自体が崩壊することはありません。
「石平の中国深層ニュース」ですでに2回ほどポスト習近平についても、私なりの分析を行っております。
みなさん興味がございましたら、ぜひお読みになってください。

――一帯一路への協力を表明した日本ですが、中国国内ではどのように報道、評価されているのでしょう?

一応、中国政府は前向きに評価しています。というのは一帯一路で、習近平政権は困ったことになっているからです。

一帯一路ではアジア全体、あるいはさらに広げてユーラシア大陸全体で、今後長期的に投資プロジェクトを展開していきます。
しかし、まずはお金を集めなくてはならない。ところが、4月の北京での習近平主宰の国際会議で集まったのは、貧困国家の首脳ばかりです。

お金が欲しい国の首脳ばかりで、お金を持っている国の首脳はほとんど出席していないのです。
ドイツのメルケル首相も、あれほど習近平と仲が良いのに出席していない。行くとカモになることが分かっているからです。アメリカも、イギリスも、フランスも行っていません。
行ったのはロシアのプーチンくらいで、プーチンはお金が欲しい側だからです。

習近平は「しまった!」と思ったはずです。お金が欲しいものばかりが集まってきて、お金を持っているものは誰も来ない、オレはどうすればいいのだ! と。

だから、自民党の二階幹事長を通じて安倍首相にメッセージを送り、日本の積極的な参加を引き出そうとしたのです。
安倍首相も、膠着している日中関係を改善するという条件付きで、一帯一路に、協力すると表明したのでしょう。
ただし、だからといって、日本政府が習近平の期待しているようにお金を出して本格的に参入するかどうかはまた別の問題です。
私としては、日本はそういうカモにならない方が良いと思います。

――一帯一路への協力によって、中国から日本が評価されたり、見直されたりとかいったことは期待できないのですか?

まったく関係ありません!

日本はもう何十年も中国に貢いできました。
ODA(政府開発援助)で北京空港も日本のおかげでできたのに、誰も評価していないのです。そこが日本人の誤解しているところで、何か中国に良いことをしてあげれば評価されるはずだ、と。そんなことはないのです。もう30年以上も騙されているのです。まだ分からない日本人がいること自体がおかしい。

――こういう風にすれば評価されるというのはあるのですか?

評価されるということを期待しない方が良いですね。期待すれば向こうの思う壷にはまるのです。政府が何かをやって評価されるということは諦めた方が良いですね。

むしろ、中国人の観光客が大勢日本を訪れますが、日本らしい「おもてなし」をすることで評価されます。
わざわざ何かをする必要は無いのです。普通に付き合って、中国人の観光客に、日本の「おもてなし」をすればいいのです。
そうすれば観光客が大勢来るようになり、お金も入ってくるし、ちゃんと評価もされるのです。

――中国国内において、あまり表には出ていない国民によるデモ、暴動、反習近平政権運動のようなことは発生しているのでしょうか?

反習近平ではありませんが、国内では貧困層、出稼ぎ労働者など、経済成長から取り残された人々の不平不満が常に溜まっていて、何かある度にいろいろな形で爆発しています。デモや暴動になったり、そういうことはいつでも起きています。

だからそのために150万人もの武装警察がいるのです。彼らの唯一の仕事が暴動の鎮圧です。
日常犯罪、泥棒等の取り締まりは一切していません。もちろん、軍隊として戦うこともしない。日本の自衛隊が30万人ですから、その5倍の規模の武装警察を国家で養って、唯一の仕事が国内における暴動の鎮圧なのです。つまり150万人の武装警察がいないと抑えつけられないということです。現在、中国で公表されている治安維持費は、国防費を上回っているのです!

――ビットコインへの依存が中国も高くなっていますが、問題は起きていないのですか?

中国でもビットコインが非常に流行っていますが、主に二つの理由が考えられます。

一つは、中国人が基本的に人民元を信用していないからです。例えば、どうして中国人はあれほど不動産を買うのか。
金や貴金属も、よく買います。それは財産として人民元を持つことが不安だからです。
自国の貨幣に対して深刻な不信感があるのです。だからビットコインなのです。
人民元より仮想の貨幣の方を信用しているのです。

もう一つは、財産を海外へ持っていくための手段です。人民元を海外へ持っていったら、外貨に替えなければいけません。
ところが外貨に替えるのには、いろいろな制限があるのです。ですから、まず人民元をビットコインに替える。海外でビットコインを売って外貨を受け取ればいい。

中国政府もビットコインは頭の痛い問題でしょう。今年一月に取り引きがすべて中止されて、最近再開されましたが、いろいろな形で制限しています。

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