【北京・河津啓介】米国政府による北朝鮮のテロ支援国家の再指定は、20日に中国の特使が北朝鮮から帰国した直後に発表された。
特使が金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談したかを中朝双方が公表せず、「会談拒否」の観測も呼ぶ異例の展開と相まって、中国の手詰まり感が漂う。

 中国外務省の陸慷(りく・こう)報道局長は21日の定例記者会見で、再指定について「各国が緊張の緩和と対話の再開に利する行動を望む」と述べ、米朝双方に自制を求めた。
だが、現実には米朝など関係国の「対話」に向けた具体的な動きがないどころか、北朝鮮が反発して事態が緊迫する可能性もある。

 中国共産党中央対外連絡部(中連部)の宋濤部長は17~20日、習近平総書記(国家主席)の特使として10月の党大会の報告のために慣例に従って訪朝。
中朝メディアは宋氏と金委員長側近の北朝鮮高官との会談を伝えただけで、金委員長との会談に触れなかった。極めて異例の事態に、会談が見送られたとの観測が強まっている。

 宋氏は核開発に固執する北朝鮮側に自制を求めたとみられ、北京の外交筋は「北朝鮮が会談を拒否することで不満を表明した可能性がある」と指摘した。

 21日付の中国共産党機関紙「人民日報」は宋氏の帰国を3面で小さく扱っただけ。
北朝鮮メディアの扱いも冷淡と言え、宋氏の訪朝は、北朝鮮核問題での関係国の「対話」への期待より、むしろ中朝の溝を印象づけた。

 ただ、中国の民間シンクタンク研究員は「中国にとって北朝鮮に現在の立場を伝える最低限の目的は果たしたと言える。
相手の不満は織り込み済みであり、中朝関係に大きな影響はないだろう」と分析。
訪朝の結果を玉虫色にして互いに決定的な対立を避けたとも言え、北朝鮮核問題を巡る事態打開に向けた水面下の交渉が今後も続くとみられる。

 中国国営の中国国際航空が21日以降、北京と平壌を結ぶ定期便の運航を見合わせるとの情報もあるが、同区間は今春も「利用客の減少」を理由に運航を一時停止しており、朝鮮半島情勢との関連は不明。北京の外交官は「中朝関係の真実は当事国しか分からない。まさにブラックボックスだ」と指摘した。

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