30日に行われた相撲協会の理事会。焦点となったのが、日馬富士暴行事件で危機管理委員会による貴ノ岩への事情聴取を拒み続けている貴乃花親方(45)の反応だ。

 午後1時に始まった理事会が終了したのは4時半。通常なら20~30分、長くても1時間弱という理事会が長引いたことで議論紛糾、怒号が飛び交っているのでは、と思われた。

 しかし、当の貴乃花親方は、出席した理事らが拍子抜けするほど従順だったという。だからといって、事が貴乃花親方の思惑通りになったわけではない。むしろ逆だ。

 まず、巡業部長という立場にありながら、12月3日からの冬巡業には同行せず、代役は広報部長の春日野親方が務めることに。事業部長の尾車親方は、

「本件(日馬富士暴行事件)への対応、巡業の勧進元の方々や地元ファンのことも考慮した」

 と説明し、「現在の騒動の中では、多くのマスコミの方も押しかけるでしょう。巡業を見るお客さんや、土俵がそっちのけになってはいけないということ。貴乃花親方も、納得していました」と、補足した。

 さらに頑として拒んでいる貴ノ岩の聴取については、警察の捜査終了後に「協力します」と約束をさせられた。

「これまで貴ノ岩への聴取は断られていた。しかし、もう調査としては貴ノ岩とあとわずかばかりを残す段階。それでも貴乃花親方は『警察の捜査優先』と言っていたので、『警察の捜査が終われば協力してもらえるか?』と聞いたら、『協力します』と言ってもらえた」

 とは、危機管理委員会の高野委員長(元名古屋高検検事長)だ。

 貴乃花親方が「本丸」と狙いを定めていたといわれる横綱白鵬についても「厳重注意」止まり。それも暴行事件とは関係ない、11月場所中の「負けた後に物言い」「万歳三唱」「日馬富士、貴ノ岩土俵復帰発言」の3点についてだ。

 現役最強横綱に暴行以上の醜聞でも発覚すれば、現執行部に与えるダメージも計り知れない。しかし、白鵬が暴行事件の発端となった説教を貴ノ岩にしていたことは明らかになったが、それ以上の関与はなし。「なぜ暴行をすぐに止めなかったのか」という点で疑問は残るものの、貴乃花親方が貴ノ岩への聴取を渋っている現時点では、何の処分も下せない。

■リスク管理規定違反は明らか

 その一方で、理事会では貴乃花親方への非難が渦巻いた。高野危機管理委員長が「調査に協力しない貴乃花親方の責任? それは理事会も考えてはいるが、ただちに処分は考えていない。ただ、きちんと協力するのが理事としての責任ではないか」と話せば、事件の報告義務を怠ったことについては八角理事長(元横綱北勝海)も、「そうした話は出ているが、まだ中間報告」と証言した。

 執行部に打撃を与えるどころか、まさかの逆風。11月場所中に危機管理委員会から呼び出されたときは貴乃花親方単独だったが、今回は理事、副理事、幹事の中に、少数ながらシンパもいた。にもかかわらず、追及の声の大きさには勝てなかった。

 さらに、この日の理事会の決議事項も、貴乃花親方にとっては大きなダメージになる。

「暴行問題に関し、事実の全容を解明し、必要な懲戒を行い、適切な再発防止策を策定するため、すべての理事、監事、協会員、職員が結束して協力し合うことを決議する」――。

 極めて当然、改めて決議する必要があるのかという内容が、「実は貴乃花親方には致命傷になる可能性が高い」(ある親方)というのだ。

 決議の根拠になっているのが、今年9月の理事会で承認されたリスク管理規定。そこには「協会員はリスク発生後、速やかに主管部の長や主事に必要な報告をし、主管部の長又は主事の指示に従う」「危機管理委員会は、必要と認められるときは、協会員及び職員に対して一定の行動を指示又は命令できる」「危機管理委員会からの指示又は命令には従って行動しなければならない」とある。

 貴乃花親方が速やかに協会に報告せず、これまで危機管理委員会からの事情聴取の要求に応じなかった事実は、明らかにリスク管理規定に反しているし、「結束して協力し合う」との決議事項に引っ掛かる。「必要な懲戒を行う」ための十分な根拠になるのだ。

 これによって相撲協会の定款で評議員会に与えられた権限、つまり「理事が職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったときは評議員会の決議によって解任できる」(第18条1、第32条1)に該当することがいよいよ明確に。今後、危機管理委員会の調査が終了、評議員会で貴乃花親方の理事としての責任が問われ、過半数が「ノー」の判断を下すことになれば、その時点で、理事職は解かれる。

 外堀を埋められた貴乃花親方の「理事解任」はもはや時間の問題だ。

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