■大気汚染解消うたうが…暖房間に合わず児童凍傷

 【北京=西見由章】深刻な大気汚染を解消するため石炭燃料から電気・天然ガスへの転換を推進している中国北部で、冬を迎えながら暖房設備が使用できないケースが相次ぎ市民生活に影響が出ている。中央政府の強い指示で石炭ストーブを撤去したものの代替施設の整備が間に合わず、天然ガスの需給も逼迫(ひっぱく)しているためだ。官製メディアまで異例の当局批判を展開する中、環境保護省は石炭燃料の暖房を一時的に認める通知を急遽(きゅうきょ)出すなど対応に追われている。

 「児童たちは凍えている」。中国共産主義青年団(共青団)機関紙「中国青年報」は5日付の1面で、学校中庭の石畳に座り込み、椅子の上に教科書を置いて授業を受ける子供たちの写真を掲載した。同紙によると、河北省曲陽県の一部の小学校では、石炭燃料のストーブが撤去されたものの電気による暖房の整備が間に合わず、陽光があたる屋外で授業が行われた。

 現地の気温は真昼でも0度程度で、子供が凍傷を患ったと訴える保護者も。教師らは寒さを訴える児童を運動場で走らせ“暖”を取っているという。校長は、環境基準に適合しない暖房の撤去を「上級部門」が求めたが、急な通知で代替設備の工事が間に合わなかったと説明した。

 石炭燃料の性急な“禁止令”は代替燃料となる天然ガス需給を逼迫させた。河北省発展改革委員会は11月末、天然ガス供給が不足するとして2級警報を発令。同警報は、10~20%の不足が生じ「経済社会の正常な運営に比較的大きな影響がある」際に発令される。

 河北省のほか陝西、山東両省や寧夏回族自治区でも天然ガスの需給が逼迫している。政府系サイト「中国能源網」などによると、液化天然ガス(LNG)の市場価格は2週間でほぼ倍増し、今月初旬に1トンあたり8千元(約13万6千円)前後まで高騰した。

 習近平総書記(国家主席)は1期目の任期で大気汚染改善の目立った成果を出せず、10月の党大会では「青空を守る戦いに勝つ」と強調した。環境保護省は昨年以降、脱石炭を進める「至上命令」(中国メディア)を各地方政府に出し、石炭の使用や取引を厳しく制限。山西省臨汾市の警察当局は11月末、三輪バイクを使って石炭を販売していた男を逮捕した。

 党機関紙、人民日報系の環球時報は論評で「今年の冬は長時間の深刻な大気汚染が発生していない」と燃料転換の政策を評価しつつ、「冬に民衆を凍えさせていい理由は一つもない。地方政府はいかに指導者に報告するかしか考えていないのではないか」と批判。「共産党の喉と舌」とされる官製メディアが当局を批判するのは異例だが、民衆に広がる不満の責任を現場の地方政府に押しつけているともいえる。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171209-00000074-san-cn。


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