老後に貯蓄がつきて生活を賄えなくなる「老後破産」を防ぐには、どれくらいお金をためておく必要があるのか-。人によって、「3千万円」「4千万円」「5千万円」などと、見方はさまざまだ。ファイナンシャルプランナー(FP)の畠中雅子さんは「一般論で語っても何の意味もありません」と断じる。貯蓄が1千万円でも年金生活での赤字額が少なければ暮らしていくメドは立つからだ。

 まず考えるべきは、現役時代に自分がどれくらい貯蓄できるか、正確に把握することだという。

 「50代で1千万円たまっていない人が60代前半までに退職金を除いて3千万円ためようとしてもまず無理でしょう。ためようとすれば、許容以上のリスクがある運用方法に挑戦することになり、逆にお金を減らしかねない」

 畠中さんは、こう指摘する。

 リスク商品は、2倍に増額する可能性があれば、同時に半分に減るリスクもある。「実際にお金を減らしてしまい『妻に言えない』と言ってくる相談者も多いんですよ」と畠中さん。

 必要な貯蓄額は、年金生活になってからの赤字額がどれくらいになるかに左右される。年金を含む年間収入から支出を引いた額を算出し、65歳以降、30年生きると想定すれば、30かけた額がだいたい必要な貯蓄額になるという。

 畠中さんは、本格的に老後貯蓄に乗り出すのは「50歳になってからでいい」と語る。年金生活後の収入や支出について一定のメドがみえる年齢だからだ。

 50歳になると、日本年金機構から年金加入者に送られてくる「ねんきん定期便」の様式が50歳未満のときと違うものになり、受け取りの見込み額が示されるようになる。途中で会社を辞めなければ、見込み額は実際にもらえるのと近い。

 一方、支出面では、住宅ローンの返済や子供の教育費負担が何歳まであるかといったメドがつく。あとは、毎日通勤していたときと生活スタイルが変わった場合、夫婦でどれくらいの食費が必要かなどを算出すればいい。

 重要なのは、老後の赤字額を減らすためどんな「戦略」を練るかだ。収入面では年金の受取額を増やすため、65歳まで延長して働く場合、厚生年金をもらえる職場を選ぶのが望ましい。支出面では、固定資産税や自動車関連の税金、住宅の修繕費、レジャー費、冠婚葬祭費、医療費をいかに減らすかがポイントとなる。

 大きな効果を発揮するのは家の住み替えだ。「戸建てから、駅近のコンパクトな中古マンションに買い替えれば、固定資産税が安くなるケースも多い。車を手放しやすくなるので車関連の支出も減らせます」

 車に関しては、普通乗用車2台をともに軽乗用車に替えるなどすればいい。保険の見直し、介護施設の選び方など、ほかにも工夫の余地はいくらでもある。FPのような専門家の知恵も借りながら、「100歳時代」の長い老後を心配なく生き抜きたいものだ。

 ◇畠中雅子氏(はたなか・まさこ) 昭和38年、東京都港区生まれ。平成4年にファイナンシャルプランナー資格を取得。新聞・雑誌・ウェブなどに約20本の連載を持つほか、セミナー講師、相談業務などを行う。引きこもりの子供がいる家庭向けの生活設計アドバイスや高齢者施設への住み替え資金アドバイスなどにも注力。著書は「貯金1000万円以下でも、老後は暮らせる!」(すばる舎)ほか60冊を超える。

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