【シンガポール=吉村英輝】オーストラリアのターンブル首相が18日に訪日する。2015年9月の“党内クーデター”で安倍晋三首相の盟友だったアボット前首相を追い落とし、有力視されていた日本の「そうりゅう型」潜水艦導入を退けた。親中派の元実業家として知られ、経済立て直しに中国との関係強化を掲げたが、中国の“内政干渉”もあって結局は頓挫。同盟国の米国との関係もギクシャクするなか、日本からの支援を取り付け、政権基盤のテコ入れを図る姿勢だ。

 豪公共放送(ABC)は16日、在キャンベラの中国大使館が昨年10月に最大野党・労働党の議員十数人を夕食に招き、豪政界への政治工作疑惑の払拭に努めたと報じた。その数日前、豪政府幹部は国内の学生に対し、中国共産党の影響力に備えるよう、異例の呼びかけをしていた。

 豪政府は先月、中国を念頭に、外国人から影響を受けた国内組織や政治献金の監視を強化する措置を法制化。中国との癒着が指摘された労働党のダスティアリ上院議員が辞職表明に追い込まれるなど、豪中間のつばぜり合いは激化している。

 中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報が先月発表した「2017年の最も中国に非友好的な国」調査によると、1位は6割の豪州で、2位のインド、3位の米国、4位の日本を引き離した。ネットユーザー向けに初めて実施された同調査は、豪中の離反が民間でも強まっていることを浮き彫りにした。

 一方、豪州の同盟国である米国との関係は冷え切ったままだ。初の電話会談を「最悪だった」と酷評したとされるトランプ大統領とターンブル氏との関係が改善する兆しはみられない。2016年9月に駐豪州米大使が帰任してから15カ月以上、同席は空席のまま。豪州では「外交上の侮辱行為の一歩手前」(フィッシャー元副首相)などといらだちが募る。

 国内では、二重国籍問題で議員の辞職が相次ぎ、かろうじて過半数を維持する保守連合の政権が揺らぎ、首相の支持率も低下している。

 こうした中、注目されているのがターンブル氏の訪日だ。有力紙オーストラリアン(電子版)は14日、「日本との軍事協定で中国の威力に対抗」と題した記事で、日豪首脳会談で議題になると予想される自衛隊と豪軍の共同訓練に言及。豪戦略政策研究所(ASPI)のピーター・ジェニングス所長は、太平洋戦争で1942年に日本から攻撃を受け、現在は米海兵隊が巡回駐留する北部ダーウィン港に触れ、「3カ国演習の機会増加に期待する」と強調した。

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