台湾南部の高雄市を走る「高雄捷運(高雄メトロ)」が、オリジナルの漫画キャラクターを生かして注目を集めている。日本でも人気漫画作品を用いたキャンペーンは珍しくないが、高雄メトロは公式キャラクター「高捷(たかめ)少女」として事業全般に活用。乗客増加や地域の話題づくりに貢献している。“萌(も)えキャラ”で「地域の足」の活性化を模索する同社の取り組みを探った。

高雄メトロの主要駅、美麗島駅。切符売り場や通路の壁に、瞳の大きな少女が描かれたポスターが張られている。「高捷少女」を使ったサービスの案内だ。駅構内には、高捷少女のパネルやグッズ販売店も。メトロを運営する高雄捷運公司で広報を担当する●張●さんは「男性だけでなく女性にも人気。日本からもファンが来ますよ」と話す。

 高雄メトロは2008年に開業。地下鉄2路線(44・7キロ、38駅)と路面電車1路線(8・7キロ、14駅)を運行している。16年の乗客数は過去最高の6300万人を記録。運賃収入も15億2400万台湾ドル(約56億円)と過去最高を更新した。

 ただ、最初から順調なわけではなかった。路線は高雄の空港や観光施設、買い物エリアを結ぶ一方、通勤や通学には不便な面もあり、乗客が伸び悩んだ時期も。16年の最終損益は7400万台湾ドル(約2億7千万円)で2年連続黒字だったが、それ以前は赤字の年もあった。「観光客の利用をどう増やすかが重要」と張さんは話す。

 利用促進を模索する中「単に乗客を運ぶだけではなく、新しいサービスの発信を」と生み出したのが高捷少女だった。原案を社員が考え、台湾のクリエーターでつくる企業にデザインを依頼。14年に第1号の女性駅員のキャラクターが誕生した。運転士や技術者なども追加され、現在は6人のキャラクターがいる。

 漫画やアニメの人気が高い台湾で、高捷少女は「かわいい」と評判に。高雄市がソフト産業による経済振興を重視していることから、市の行事にも活用されてさらに知名度を高めた。15年からは夏にアニメのイベントを開催。各地からアニメファンが集まるという。

 昨年9月には米国のゲーム制作会社と協力し、位置情報と拡張現実の技術を活用したスマートフォン向けゲームも開発した。特定の場所を訪れると物語などが展開する仕掛けで、高雄、台北に加え、外国人に人気が高い福岡市のキャナルシティ博多が舞台に設定されている。「アニメは世界に通じる。新しい観光モデルをつくりたい」と高雄捷運公司は意気込む。

   □    □

 高雄メトロは、日本の鉄道会社との連携にも力を入れる。これまで江ノ島電鉄(神奈川県藤沢市)、京福電気鉄道(京都市)と観光連携協定を締結。沿線の観光施設や店舗を紹介したクーポン付き冊子を相互に発行している。京王電鉄(東京都多摩市)とは昨年、会員制交流サイト(SNS)と連動した共通キャンペーンを実施した。

 九州では、高雄空港と熊本空港の間で定期便が運航されていることもあり、熊本電気鉄道(熊本市)との連携を検討中。高雄捷運公司で企画担当の黄浚欽さんは「日本人旅行者が訪れるのは、大半が台北だけ。高雄に呼び込む仕掛けをつくっていきたい」。熊本電鉄は「台湾から熊本への旅行客は増加傾向。鉄道を通じた交流を深めたい」とする。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180125-00010000-qbiz-bus_all