■ 大型貫通爆弾で地下施設を攻撃

 前述したように、米軍による対北朝鮮「予防戦争」は、空軍爆撃機部隊による北朝鮮のICBM関連施設への奇襲空爆によって開始される。この第一波攻撃で、アメリカ領域を攻撃できるICBM関連施設を破壊しなければ、アメリカ本土に対する報復核攻撃が実施される可能性もある。

 北朝鮮のICBMをはじめとする弾道ミサイル関連施設や移動式ミサイル発射装置は、いずれも地下施設や山岳地帯の洞窟式施設などに潜んでいる。そのため、先制奇襲攻撃では、地下深くの攻撃目標を破壊するために開発されたGBU-57大型貫通爆弾(MOP:最大60メートルのコンクリートを貫通した後に爆発し目標を破壊する)を使用する必要がある。

 巨大なMOPを搭載することができる爆撃機は、B-52戦略爆撃機とB-2ステルス爆撃機のみである。米空軍爆撃機部隊が北朝鮮攻撃の主たる前進拠点としているグアム島アンダーセン米空軍基地に常駐しているB-1B爆撃機には、MOPを搭載することはできない。よって、B-2ステルスを奇襲攻撃に投入し、B-52とB-1Bが共に第二波攻撃で大量の各種爆弾を投下する役割を担うことになる。

■ グアムに15機の主力爆撃機が勢揃い

 いずれにせよ、米軍による対北朝鮮軍事攻撃が敢行される場合には、グアム島アンダーセン米空軍基地に、B-1B爆撃機、B-2ステルス爆撃機、それにB-52戦略爆撃機が集結していなければならない。B-2もB-52も、アメリカ本土から北朝鮮上空に飛来して爆撃を実施し、日本やグアムの基地に帰還することは十二分に可能であるが、攻撃のタイミングや兵員の疲労などを考えると、できるだけ多くの爆撃機を、できるだけ攻撃目標に近い基地から発進させる必要がある。

 そのため、アンダーセン空軍基地や、場合によっては日本の米軍基地などにも、B-2やB-52が展開している状況を作り出し、予防戦争開始のタイミングを敵にも味方にも悟らせないようにする準備態勢作りが肝要になっている。

実際に、1月8日には、ミズーリ州ホワイトマン空軍基地から3機のB-2ステルス爆撃機と200名の関係要員がアンダーセン航空基地に展開し、現在配備されている6機のB-1爆撃機部隊と合流した。超高価なため米空軍といえども20機しか保有していないB-2ステルス爆撃機を前方に配備するのは、専門スタッフの配置も必要であることから、まさに実戦を想定した動きに近いといえる。

 引き続いて1月16日には、ルイジアナ州バークスデール空軍基地から6機のB-52H戦略爆撃機と300名のスタッフがアンダーセン航空基地に到着した。これによってグアムには、合計15機の3種類のアメリカ空軍主力爆撃機が勢揃いしたことになる。

 これらの爆撃機部隊増強は、平昌オリンピック開催期間中の不測の事態を抑止するための威圧目的で、期間限定の展開とされている。ただし、上述したように、対北朝鮮「予防戦争」を念頭に置く米空軍、そして米太平洋軍司令部としては、奇襲攻撃が迫りつつあるサインを北朝鮮側に悟らせないためにも、今後恒常的にB-2ステルス爆撃機やB-52をアンダーセン航空基地に展開させるものと思われる。

 このように、南北会談や平昌オリンピック・パラリンピック開催といった動きと平行して、静かながらも着実にアメリカによる「予防戦争」実施準備は推し進められている。現実に「予防戦争」が開始された場合、北朝鮮軍による報復攻撃として弾道ミサイルの飛来が十二分に予想される日本としても、心の準備を怠ってはなるまい。