【AFP=時事】世界で最も貧しい大陸のアフリカでは、毎年10万人近くが偽造薬が原因で命を落としている──。

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コートジボワールの最大都市アビジャン(Abidjan)で公然と営業している巨大な偽造医薬品販売市場「ロキシー(Roxy)」は、これまで幾度となく当局の標的にされ、在庫を焼却処分されてきた。しかしこの聖域は毎回、息を吹き返す。

 痛み止めから抗生物質、抗マラリア薬、抗レトロウイルス薬まであらゆる薬を扱っている販売業者の一人、マリアムさんは「警察はうるさく言ってくるけど、彼らだってこうした薬(偽造薬)を買ってるからね」と語る。「邪魔をされたときはいつも(警察と)商売再開の取り決めを結ぶことになっているのよ」

 別の業者のファティマさんも「大勢の人が処方箋を手に薬を買いに来る。診療所の経営者だって来る」と話す。ファティマさんによると、偽造医薬品産業を牛耳る「シンジケート」が定期的に会合を開き、値段と供給量を決めているという。

 世界保健機関(WHO)によると、アフリカ大陸では毎年約10万人が偽造医薬品によって命を落としているという。

 この違法産業は売上高で世界の医薬品ビジネスの少なくとも10%を占めるまでに成長し、毎年巨額の利益を生み出している。スイスに本部を置く世界経済フォーラム(WEF)の推計によると、市場規模はこの5年間で3倍近く成長している。

 フランス赤十字(French Red Cross)の元トップで、感染症と熱帯病の専門家でもあるマルク・ジェンティリーニ(Marc Gentilini)氏は、ニジェールで数年前に髄膜炎が大流行したときに送られたワクチンの一部は偽物だったとAFPの取材に説明した。西アフリカの乾燥地帯にある同国ではこの病気で毎年数千人が命を落としている。

■地下ネットワークの製造施設、中国に集中
 WHOは世界で流通する医薬品の約10%が偽物だと推定しているが、この数字は一部の国々、特にアフリカ諸国では70%に跳ね上がることもある。

米国熱帯医学会(American Society of Tropical Medicine and Hygiene)の2015年の推計によると、サハラ以南アフリカでは5歳未満の子ども12万2000人が、粗悪な抗マラリア薬や抗生物質が原因で死亡したとされている。抗マラリア薬と抗生物質は最も需要のある薬だが、その一方で使用期限切れのものや粗悪な模造品の流通が多い薬でもある。

 国際刑事警察機構(インターポール、Interpol、ICPO)は昨年8月、ベナン、ブルキナファソ、コートジボワール、マリ、ニジェール、ナイジェリア、トーゴの7か国から警察官、税関職員、公衆衛生当局者ら1000人余りを動員し、西アフリカで大規模な摘発を実施、偽造薬420トンを押収したことを発表した。

 仏製薬大手サノフィ(Sanofi)の偽造医薬品対策部長によると、ヘロインや偽札関連のビジネスでは、投資額の20倍程度のリターンが見込めるのに対し、偽造薬ではその数字が500倍にもなり得るという。

 サノフィは2016年、偽造医薬品シンジケートの違法製造施設27か所の解体に協力した。そのうち22か所の所在地は中国で、その他はインドネシア、ウクライナ、ポーランドだった。

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