北朝鮮が化学兵器の製造に使用できる部品をシリアに提供していると、国連安全保障理事会・北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが報告書をまとめたことが27日、明らかになった。米メディア各社が報じた。

提供された部品には、耐酸性のタイルやバルブ、パイプが含まれるという。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、国連報告書は北朝鮮のミサイル専門家らがシリアの武器製造施設にいたと指摘している。報告書は現時点で未公表。

シリアでは2月末、首都ダマスカス近郊にある反体制派拠点の東グータで、政権軍が塩素ガスを攻撃に使用したとの指摘が出ているが、政権は否定している。

北朝鮮は、国連安全保障理事会の決議に違反し核・ミサイル開発を続けていることから、各国から制裁措置を受けている。

北朝鮮からシリアに非合法的に運ばれた物資は、耐熱・耐酸性タイルや耐食バルブ、温度計などで、タイルは化学兵器が製造された施設の建設に使われたとされる。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、2016年末から17年初頭にかけ、北朝鮮は中国の貿易会社を通じて5回にわたりシリアに物資を送っている。物資の搬送は数年間で何十回にも及んだとみられている。

同紙は、シリア政府の科学調査研究センター(SSRC)が多数のフロント(隠れみの)企業を使い、北朝鮮に対価を支払っていたと指摘した。

今回の国連報告書は、米紙ワシントン・ポストも同様に確認している。

すでに公表済みの2017年9月の報告書で専門家パネルは、シリアと北朝鮮が「禁止された化学兵器、弾道ミサイルおよび通常兵器で協力しているとの情報について調査している」と述べていた。

当時の報告書は、国連加盟2カ国が押収したシリア向けの積み荷が、北朝鮮の主な武器輸出組織とSSRCのフロント企業による取引の一部ではないかとと、疑念を指摘していた。

国連のステファン・デュジャリック報道官は、報道された報告書が公表されるのかコメントしなかったが、ニューヨーク・タイムズに対し、「すべての加盟国に、実施中の制裁に従う義務と責任がある。これが全体としてのメッセージだろう」と語った。

シリア政府は専門家パネルに対し、シリア国内にいる北朝鮮市民はスポーツのコーチや選手のみだと、説明したとされる。

シリアは化学兵器禁止条約の署名国で、2013年のサリンガスを使ったグータへの攻撃で多数の死者が出た際には、保有していると認めた化学兵器の破棄に同意した。

それ以降も、シリアは2011年から続く内戦で、禁止された化学兵器を繰り返し使用したと非難されている。

化学兵器禁止機関(OPCW)は、昨年4月にイドリブ県ハーン・シャイフーンで80人以上が死亡した攻撃で、サリン神経ガスが使われたと結論付けた。国連の調査官らは攻撃はシリア空軍によるものだとしている。

これを受け、米国はシリアの空軍基地をミサイル攻撃。シリアのバッシャール・アサド大統領は、事件はでっち上げだと主張した。

シリアでは最近、25日の東グータでの攻撃など、塩素ガスが使用された事例が報告されている。

ロイター通信は外交筋の話として、OPCWがこれらの攻撃を調査していると伝えた。ボリス・ジョンソン英外相など西側諸国の政治家らは、市民に対して化学兵器が使われたという「議論の余地のない」証拠が新たに示されれば、シリア政権への攻撃実施もあり得ると示唆している。

専門家たちは、北朝鮮が現金収入を得るために、世界中で長年、軍事物資や武器を提供してきたと指摘した。

国連の報告書は、北朝鮮が中東や北アフリカ、ラテンアメリカなどの数十の国や集団と違法な取引をしようとしていることを強調する内容となっているもよう。

シリアと北朝鮮の間には数十年にわたる軍事的結びつきがある。

ドナルド・トランプ米大統領は今月23日、北朝鮮への追加制裁を発表。数カ国で登記された50以上の船舶と海運会社を制裁対象とした。

北朝鮮はすでに、核・ミサイル開発への制裁措置を国際社会や米国から受けているが、核兵器の爆発実験や米国に到達可能な長距離弾道ミサイルの発射実験などを、昨年繰り返していた。

米国は、新たな制裁によって収入源を断ち、核開発に必要な燃料を得られなくして、すでに実施されている制裁の抜け穴をふさぐことで、北朝鮮への圧力をさらに強められると説明している。

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