「森友学園」(大阪市)への国有地売却に関する決裁文書が書き換えられたとされる疑惑を巡り、大阪地検の捜査を盾に、国会で「ゼロ回答」を続ける財務省に、批判が強まっている。捜査や行政の実務に詳しい有識者からは「説明を拒む理由にはならない」と疑問の声が上がった。

 「司法の捜査権より、国政調査権が劣るのか」。6日午後、国会内で開かれた、野党6党による合同ヒアリング。財務省理財局幹部らが「捜査にかかわることなので(説明は)差し控えたい」と繰り返す中、野党議員の怒号が飛んだ。

 決裁文書については、森友問題の真相解明を訴える神戸学院大の上脇博之教授が昨年、財務省に情報公開請求し、国会議員に示されたものと同様の文書の開示を受けている。上脇氏は毎日新聞の取材に「別の文書があるなら、真実の文書開示を受けていないことになる。知る権利や情報公開請求権の侵害だ」と反発した。


 学園への国有地売却では、財務省前理財局長の佐川宣寿・国税庁長官らが証拠隠滅や公用文書毀棄(きき)などの容疑で告発されており、同省は「捜査の対象になっており、すべての文書を直ちに確認できない」と国会に報告。これに対し、東京地検特捜部元検事の若狭勝弁護士は「国権の最高機関である国会の要請という重みを考えれば、調査を拒否する理由にはならない。検察に文書を提出していたとしても、写しなどを提供してもらうことは可能なはず」と指摘した。

 また、元総務相の片山善博・早稲田大公共経営大学院教授は「改ざんがないのなら、出せばいいだけのこと。捜査の妨げになるとはとても思えない」と同省の対応を疑問視した。【杉本修作、山崎征克、岡村崇】

 ◇公文書管理、書き換え想定せず

 官公庁の公文書は、公文書管理法に基づき、職員が職務上作成して組織的に用い、役所で保有しているものと定義され、意思決定に至る過程などが検証できるように作成するよう義務付けられている。このうち、責任者が部下から提出された案を認めたことを示す印鑑(決裁印)が押され日付の入ったものが、決裁文書と呼ばれる。

 内閣府公文書管理課によると、決裁後、意思決定に関わる修正があった場合、修正の経緯が分かる文書を残さなければならないとされる。明文規定はないものの、早川和宏・東洋大教授(行政法)は「そのまま保存するのは公文書管理の上で当たり前で、中身を書き換えるようなことを公文書管理法は想定していない」と説明。こうした文書を書き換えると、刑法の公文書偽造や変造などの罪に問われるのか。早川教授は「書き換えの程度などによる」と指摘する。

 報じられているような書き換えは霞が関で行われているのか。ある省庁の職員は「まずあり得ない。決裁を取り直すのが普通だ。ただ、誤字脱字のような場合、(該当箇所に)線を引いて判子を押して直すことはある」と語る。一方、別の省庁で文書管理を担当する職員は「決裁印の押してある1枚目の文書の修正は難しいが、2枚目以降でデータや字句の誤りに気づけば、担当者で判断したり、上司に相談したりして直すことがある。記録を残すこともしない」と証言した。

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