「空の支配者」F-22「ラプター」
 最強のステルス戦闘機として名高いF-22「ラプター」。
かつて2016年には、北朝鮮への圧力強化のために沖縄県の嘉手納基地に12機が暫定配備され、その存在感を内外に示しました。

 そして在日米軍基地の航空祭などでは、機体展示が行われることもありますが、機体の周辺ではMPが常に監視しており、
]機密性の高い機体である事がうかがえます。

 残念ながら日本では機体の展示のみですが、アメリカ空軍には「ラプター」のデモフライトチームがあり、
全米はもとよりヨーロッパやアジアのエアショーなどで機動飛行のデモを披露しています。


 デモフライトでは、ラプターの離陸準備が整うと「First look, First shoot, First kill!(先制発見・先制攻撃・先制撃破)
Air Dominance(空の支配者) F-22 Raptor!」と司会者が叫び離陸、急角度で一気に上昇し上空で様々なマニューバー(戦術的機動、展開のこと)を披露します。
推力偏向ノズルによる独特の動きは見る者を圧倒し、世界最強の戦闘機である事を誇示します。

最強の名は伊達じゃない、はずが…?
 このように機動飛行のデモフライトで世界中にその能力の高さを示し、アメリカ空軍の力の象徴というべき「ラプター」は、
演習においてもその強さを発揮しています。2006(平成18)年にアラスカで行われたアメリカ陸海空軍の合同演習「ノーザンエッジ」では、
1機の損害も出さず144:1という信じられないようなキルレシオ(撃墜比)を叩き出します。
その後の演習でも、圧倒的な撃墜率を誇り、最強の戦闘機の地位を不動のものとします。

 向かうところ敵なしの「ラプター」ですが、実は何度か訓練や演習で敗れています。
2009(平成21)年には、なんとアメリカ空軍の練習機T-38に撃墜判定されます。
撃墜したT-38のパイロットは相当な手練の教官だと言われており、かつ「ラプター」に不利な条件での格闘戦だったようですので、
有視界での格闘戦では経験が勝ったといえるでしょう。

 同年には、海軍機のEA-18Gとの模擬戦闘で、中距離空対空ミサイルAIM-120によって撃墜判定を受けます。
航空自衛隊が導入検討しているEA-18Gは、ジャミング(電波妨害)を主とする電子戦機であり、ベースはF/A-18F「スーパーホーネット」です。
どのような状況下での訓練かは不明ですが、飛行性能で劣るEA-18Gが「ラプター」を撃墜判定したのは興味深いトピックスといえるでしょう。
そして、この撃墜したEA-18Gには「ラプター」のキルマークが描かれています。

それでも最強といえるのにはワケがある
 そして2012(平成24)年の、アメリカ空軍はじめその軍事同盟国などが参加する空戦演習「レッドフラッグ」では、
ドイツのユーロファイターとの模擬格闘戦、いわゆるドッグファイトで「ラプター」が撃墜判定されます。
ステルス機にも有効なIRST(赤外線捜索追尾システム)が優位に働き撃墜したということですが、
実際のところドイツのユーロファイターにはこのIRSTが装備されていないので、ことの真相は定かではありません。
加えて、この格闘戦は「ラプター」が相当不利な状況で行われたといわれてますので、
一概に「『ラプター』が近接戦不利」という評価にはならないでしょう。
むしろ膨大な数の演習において、わずか数度の撃墜判定しかないと評価すべきでしょう。
そのユーロファイターも目視外の戦闘では、「ラプター」に完敗しています。

 このようにドッグファイトになれば、ラプターが負ける可能性はゼロとは言えませんが、
強力なレーダーとステルス性能で敵に気付かれずに遠距離から先制攻撃を行えば、
ドッグファイトになる前に勝負が付いてしまいます。
まさに「First look, First shoot, First kill」のコンセプト通りのスタイルです。

 しかしながら旧世代の戦闘機が、F-15をはるかに超える機動性能を持つ最強のステルス戦闘機に勝利するという話は、ロマンを感じる展開ではあります。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180328-00010000-norimono-bus_all&p=1