今、中国の習近平政権は自国経済の大改革に取り組んでいる。
大改革によって、国内にできている不動産市場での“バブル”の軟着陸を実現すると同時に、
長期的な高成長率を達成することで世界No.1の国作りを目指している。

 そのために中国が参考としているのが、約30年前のわが国だ。
1985年9月のプラザ合意後、政府と日銀は円高不況を抑えるために内需拡大をめざし、金融を緩和した。
これが、1980年代後半以降の、資産バブル(株式と不動産のバブル)につながった。

 1990年に入ると、急速な金融引き締め、融資規制の強化がバブルを崩壊させた。
それ以降、景気は“失われた20年超”というべき低迷に陥った。
国は、わが国ができなかったことを進め、長期低迷を防ごうとしている。
ある意味、それは、習氏の権力を確立するための“経済大革命”と呼ぶべきプロジェクトといえるだろう。

市場開放で経済の革新を目指す
 1976年まで10年間続いた中国の“文化大革命”は、毛沢東国家主席が政敵を駆逐し、自らの権力を固めるための政治闘争だった。

 今日の中国では、習近平国家主席が、毛主席に並び、それを上回る権力を手に入れようと、腐敗の撲滅や経済の改革に取り組んでいる。
経済面では、成長を維持し、失業増加など社会心理を不安定化させるリスクを抑えなければならない。

 そのためには、不動産バブルのソフトランディング、債務問題の解消は避けて通れない。
中国は国内市場の開放やイノベーションの推進によって、この問題を解決しようとしている。

 見方を変えれば、急速な金融引き締めによってバブルを崩壊させ、資産価格の急落とともに社会心理が悪化し、
不良債権の増加によって金融システムも傷んだわが国と同じ展開を避けようとしている。

 今後の経済政策としては、日銀の教訓を生かして、金融政策は緩やかに引き締められる可能性がある。

 同時に、ITの次世代テクノロジーの開発などを進め、新産業の育成が進むはずだ。
これを中国は政府主導で進めようとしている。
第2次世界大戦後の世界経済を振り返っても、政府の強力な統率力によって長期的に潜在成長率が維持されたケースは見当たらない。

 リーマンショック後は、世界各国で潜在成長率の低下が懸念されている。
それを解決するには、裁量的な財政政策の運営などに加え、構造改革によってより多くの付加価値の創造が期待される
(期待収益率の高い)分野に、ヒト・モノ・カネを再配分していくことが求められる。それを中国は真剣に目指している。
人民元経済圏の拡大を
 10日、中国海南省の博鰲(ボーアオ)における習氏の講演にも、この考えが如実に表れていた。
特に目を引いたのは、輸入拡大を重視する考えが示されたことだ。

 米国への配慮があることは言うまでもない。
それ以上に重要なのは、中国が自国の経済圏の拡大=人民元で貿易や投資の資金決済が行われる地理的な範囲の拡大、を目指していることだろう。

 バブル崩壊後の日本経済は、ドルなどに対する円の上昇=円高から無視できない影響を受けてきた。

 経済の発展に伴って各国の金融市場の関連性が高まるとともに、自国にとって望ましい為替レートを実現するために
為替介入を行うことは国際的な反発や批判を招く。この状況を回避するためには、自国通貨の為替レートの変動を受けないようにすればよい。

 それを目指す取り組みが“一帯一路”だ。すでに中央アジア地域にまで人民元は流通している。
本年中に、上海とロンドンの株式相互取引の開始も目指されている。

 人民元の取引範囲を広げるために中国は自国を中心とする多国間の経済連携を進め、
需要の取り込みと創出、為替レートから受ける影響の抑制を目指していくだろう。
そうした取り組みへの期待が年初来の人民元の堅調さを支えているとも考えられる。

 中国の取り組みが、どのような効果を発現していくかはわからない。
しかし、トランプ政権がグローバル化に反対し、世界からの孤立感を深めているだけに、中国の取り組みは相応の求心力を持つ可能性がある。

 トランプ政権が環太平洋経済連携協定(TPP)に復帰する条件を検討し始めたことは、中国への警戒感が高まっていることの裏返しと解釈できる。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180416-00055279-gendaibiz-int&pos=5