一家の大黒柱は嘘つき呼ばわりされ、支える妻は外をほっつき歩いてトラブルばかり起こす。「我が家」は一体どうなっているのか……。そんな時、「隣の家」を覗き見し、うちのほうがまだマシと、胸を撫で下ろして心の安寧を保つのも生活の知恵である。近くて遠い国、韓国。いやはや、「お隣さん」も大変だ。

懲役24年、罰金約18億円。4月6日、収賄や職権乱用などの罪に問われていた韓国の朴槿恵(パククネ)前大統領(66)に対し、ソウル中央地裁はこんな重い実刑判決を言い渡した。殺人犯でもあるまいし、いくら何でもムチャクチャでは……。

「これは、左派の文在寅(ムンジェイン)政権による右派の朴槿恵への政治報復なんです」

 こう解説するのは、元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏だ。

「今回の事件の主犯は朴の長年の友人だった崔順実(チェスンシル)であり、朴はあくまで従犯。ところが朴の刑期は崔より4年長い。この『4年』は、文政権の朴への嫌がらせと言えます」

 さすがは「情治国家」。理屈も何もあったものではない。

 これに対して朴氏は出廷拒否の上、同月16日には控訴放棄書を提出。不思議な「無抵抗戦術」を取っているのだが、

「彼女は地裁判決に納得しているわけではなく、この裁判そのものが無効であると無言のアピールをしているんだと思います」(同)

伝説の空手家に…
 現在、ソウル拘置所に勾留されている朴氏は、

「家族とも接見せず、独房に籠もっている。拘置所では1日45分の運動時間がありますが、彼女はその時間も独房の外に出てこない。1年以上、テレビも観ず、新聞も読まず、ニュースに接することを拒んでいます。10平方メートルほどの独房では、腰痛を抱えているためストレッチ関連の本や、韓国版『空手バカ一代』とでも言うべき、大山倍達をモデルにした『風のファイター』という漫画を読んで過ごしているそうです」(韓国ウォッチャー)

 なるほど、牛殺しの伝説を誇る空手家に思いを馳せ、独房でひとり闘志を漲(みなぎ)らせているというわけだ。

 しかし、朴氏の思惑とは関係なく、1審判決は「軽すぎる」として検察側は控訴しており、2審は開かれる予定だ。彼女の無抵抗戦術は奏功していないようにも感じられるのである。他方、地裁判決日、1200人もの朴支持者が裁判所を囲むなど、未だに彼女には根強いファンが存在する。

 先の前川氏は今後をこう見通す。

「南北首脳会談の実現に至ったとはいえ、文政権サイドには、SNS上で世論操作を行った疑惑が持ち上がっており、綻(ほころ)びが見え始めています。こうした状況で朴に対する『強権裁判』を続ければ、彼女に同情票が集まるばかり。結局、刑が確定してから1年くらいで恩赦ということになるのではないでしょうか」

 重い判決の実態は「懲役1年」。つまり、朴裁判はとんだ茶番というわけである。何たる壮大なムダ。やはり「我が家」はまだマシなようだ。

 青息吐息の「夫妻」を戴(いただ)いているとはいえ、隣の芝生は青く見えず――。

「週刊新潮」2018年5月3・10日号 掲載

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180512-00541796-shincho-kr