7月7日、西日本豪雨の影響で水が溢れ出た愛媛県西予市の河川。

凄まじい水の勢いは重い車でさえも押し流し、車は次々と濁流に飲み込まれていきました。

各地で流された車。それらが行き着いた先は…。

(リポート 岐阜・関市)
「住宅に突っ込んでいるのは、車です。横から見てみると、車はぺしゃんこに潰れてしまっています」

(リポート・神戸市灘区)
「車が住宅にぶつかっています」

流されてきた車によって住宅が損壊したケースも多く見受けられました。

この件について、街の人は…。

女性:
「車が誰かのお店に突っ込んだり、それで誰かを巻き込んでケガさせてしまったりしたら、車の持ち主の責任になるんじゃないですかね」

別の女性:
「水にはまってはる人の車、そういうのって保険がおりるのかどうなのかなって思います」

流された車が何かを傷つけてしまった場合、車の持ち主は、法律的に責任を負う必要があるのでしょうか。

菊地弁護士:
「流された車で何か起きてしまっても、車の持ち主に落ち度があるとは言えません。自然災害は誰の責任も問えないんです。

 車を持っている方が自分の駐車場に停めて、車を施錠する。これは普通の駐車方法です。そこに水が来てしまって流されて、他の車や家に傷をつけてしまっても、持ち主に何か落ち度があるんでしょうか…ということになるんですね。

 普通の人がする駐車方法ですから、落ち度があるとは言えませんし、そうするとその人に対する『あなたの車で被害を受けた』という責任追及は難しいです。基本原則、自然災害というのはなかなか責任を問いにくいんです」

Q.思い出すのが、菊地弁護士に先日解説いただいた大阪北部を襲った地震のニュースで、ブロック塀が倒れて人や建物などを傷つけた場合、「塀の所有者に賠償責任がありますよ」というお話です。ブロック塀の所有者に賠償責任があって、流された車の所有者にはないというのは、どこに境目があるんでしょう?

菊地弁護士:
「ブロック塀の場合は土地の『工作物』、土地の上に建っている建築物などについての責任なんです。その工作物に欠陥があれば、放っておいた所有者はどんな場合でも責任を負いなさいということです。

 一方、車は土地に“建てている”ものじゃないんです。ですから、工作物についての責任に関する条文は車の場合使えないんです。そうしますと、落ち度があるかどうかという基本的な原則が適用されて、自然災害の場合には難しいということになります」

Q.家が流されて、何かを傷付けてしまった場合はいかがでしょう?

菊地弁護士:
「それは『工作物』になりますが、ただ、その設置・保存に瑕疵があるっていうことがないとダメで、欠陥が無ければ責任を問えないんです。よほど土台が適当に作ってあるなどですね。普通に建てているとやはり難しいです」

Q.また視聴者の方から、「山の管理不足で大雨によって土砂や木が流出して民家などに被害が出た場合、山の所有者に責任はないのでしょうか?」という質問をいただいています。合わせて、「その所有者が国と一般人とで違いはあるのでしょうか?」という質問もありました。

菊地弁護士:
「それは、管理の落ち度を立証するのが非常に困難で、責任を問うのは難しいと考えます。土地に生えている木ですから、工作物に似た責任を問えるには問えるんです。ただ欠陥があるのかを証明するのはなかなか難しいですね。よほど木が腐りかけていて、災害が起きたら流されるぞ、ということならば別なんでしょうけど。

 管理している人や国、自治体などが、危険な状態で放置しておいたという状況が無い限り、そしてそれを立証できない限り難しいです。木、ましてや土砂の責任を、流れ出てきた山の管理者に問うというのはかなりハードルが高いです」
(関西テレビ7月11日放送『報道ランナー』内「そこが聞きたい!菊地の法律ジャッジ」より)

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