【ソウル渋江千春】6月12日の米朝首脳会談からおよそ40日が経過するなか、米国と北朝鮮の間では対話モードが続くものの、非核化に関しては目立った進展がない状況が続いている。ポンペオ米国務長官が今月6~7日に訪朝して以降、北朝鮮は米国に対し、非核化に向けた措置よりも朝鮮戦争(1950~53年)の終結宣言を優先させるよう繰り返し求めている。今月27日の休戦協定締結65年を前に、米朝間では神経戦が続く。

北朝鮮の祖国平和統一委員会のウェブサイト「我が民族同士」は21日、「終戦宣言の採択は、歴史的な北南首脳会談と朝米首脳会談で合意された問題だ」と強調し「朝鮮半島の緊張緩和と強固な平和体制構築に向けた最初の工程であり、朝米間の信頼醸成のために不可欠な要求だ」と主張した。これに対し米国は、訪朝を終えたポンペオ氏が8日、非核化と米朝間の平和的関係の樹立などを同時並行的に進めると言及するにとどまっている。協議の進め方を巡る立場にもずれが残っている状況だ。

 一方、朝鮮戦争で死亡・行方不明となった米兵の遺骨返還問題では明確な進展があった。米軍準機関紙「星条旗新聞」は17日、北朝鮮が27日にも米兵の遺骨50~55体を返還する予定だと報じた。ただ米国に対し「同時行動の原則」を掲げる北朝鮮が、遺骨返還に応じる見返りに、米国により強く終結宣言などを求める可能性もある。

 また、南北首脳会談での板門店宣言に基づき文化・体育交流が進んでいる南北関係でも、北朝鮮は揺さぶりをかけている。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は21日、2016年4月に中国の北朝鮮レストランから集団脱北した元従業員の女性12人について「送還問題が早急に解決されなければ、離散家族・親戚の再会の前途に障害が生じかねない」と警告した。朝鮮戦争で生き別れになった離散家族の再会行事は8月20~26日に予定されている。

 この問題については今年5月、元従業員と一緒に脱北した元支配人の男性が「(韓国の情報機関)国家情報院の指示でだまして連れてきた」とテレビ局のインタビューに証言し、送還の是非を巡り韓国内でも議論になっている。北朝鮮は集団脱北の直後から元従業員の送還を求め、人権問題だとして離散家族の再会を拒んできた経緯もある。

 北朝鮮は9月9日、建国70周年の節目を控える。国内では記念日に向けた重要事業を急ピッチで進めている。指導部としてはこの節目に改めて非核化に向けた強い意思をアピールし、国際社会との融和を図りたい考えだ。このため、米韓両国との関係悪化は避けたいところで、一定の圧力はかけつつも強烈な批判や行動は控えるとの観測も出ている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180721-00000054-mai-int


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