健康のために汗? エアコンより家族や友達が大事?
埼玉県所沢市では、藤本正人市長が2011年の就任前に決まっていた、航空自衛隊入間基地の騒音対策をした私立小中学校の防音校舎28校へのエアコン設置を撤回。2015年にはその是非を問う住民投票にまで発展した。エアコン設置に対して、賛成5万6921票、反対3万47票で賛成が上回ったが、騒音が特に著しい3校にのみ導入されただけだ(うち1校は現在工事中)。市のホームページには2018年1月の市長のこんな挨拶が紹介されている。

“「発育途上の子ども達の健康面から考えても、夏は汗をかくもの」
「1年分の児童クラブの活動と20数日間のエアコン費用が同じ。これは私としては、やりきれない話なのです」
「エアコンがあって快適になることよりも、家族や両親が仲良いこと、友達がいると思えることのほうがどんなにか子どもにとって大切な鍵となる」”

その後、エアコンを市内の全小中学校に設置するよう方針転換して、地球温暖化など環境に配慮した設備の調査を進めてはいるが、導入の時期などの目標はない。報道によると藤本市長は、「東日本大震災を受けて『快適で便利な生活を見直すべきだ』という考えは変更ないと強調」(毎日新聞より)しているそうだ。

「市民の負担が増えても」とツイート
政令指定都市でも公立小中学校の普通教室のエアコン設置率0%の市もある。熊谷俊人市長率いる千葉市だ。

現在はエアコン設置に向けてどのように財源を確保するか検討中だそうで、市長のツイッターによると「導入に60~70億円、運用経費が年2億円以上必要」とのこと。

以下は市長のツイートだ。

“「既に1年前の選挙で共産党の対立候補が多くの市政課題がある中で、エアコン設置を最大課題として提示して選挙が行われ、私が当選しています」
「既にエアコンが導入された自治体においてデータ上有意に熱中症発症率が減少したデータは存在しない」
「エアコン整備をする場合の財源調達等について市民の将来負担を考え真剣に研究・検討をしています。都合の良い理論に飛びつかず、せめて『市民の将来負担が増えても、ここはエアコン』と言って下さい」”

選挙や金銭的な負担など、エアコン設置には市民の姿勢も問われるようだ。

4年で設置率8%→100%に、学習も災害にも対応
実際に、選挙公約に「全校全教室にエアコンを設置」と掲げて当選し、実現したのが大西一史熊本市長だ。市長に就任した2014年当時は市内の公立小中学校の普通教室のエアコン設置率はわずか8.6%。そこから2017年6月に市内の公立中学校、2018年6月に公立小学校のそれぞれ全ての普通教室へのエアコンの設置を完了した。

中学校への工事を発注した直後の2016年4月に熊本地震が発生し、エアコン事業は一時中断。しかし、震災を経たことで新たな気づきもあった。「学校には避難所としての機能が必要」ということだ。発電機能つきで、停電時でも4教室分の空調が確保できるエアコンを1校につき1台は設置するように変更。同年の秋頃には工事の手続きを再開した。

導入に約48億円、運用は年間1億円以上のコストがかかっているそうだが、市教育委員会の担当者は「猛暑に間に合って良かったです」と胸をなでおろす。今年に入って、保護者からエアコン設置に対する賛同の手紙が複数届いたという。

大西市長は6月の定例記者会見でエアコン設置を「市民ニーズも非常に高く、極めて優先度の高い課題として取り組んできた」と話した。エアコンは児童・生徒の学習環境の向上だけではなく、災害時の拠点機能強化にもつながる。導入を迷う理由があるだろうか。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180726-00010003-binsider-soci&p=4


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