北朝鮮では、建国直前の1946年7月30日、臨時人民委員会が「朝鮮男女平等権法についての法令」を発表した。これには女性の選挙権、被選挙権の保障、強制結婚の反対、離婚の自由、養育費訴訟権の認定、一夫多妻制の否定などの内容が含まれている。

それから72年が経過した先月30日、朝鮮労働党機関紙の労働新聞「代を継いで首領福を味わう朝鮮女性の無限の歓喜」というタイトルの記事を掲載した。「首領福」とは、「立派な最高指導者を頂く幸福」のことを言う。

記事には、「男女平等権法令が発布されたことにより、朝鮮の女性たちは男性と同等の権利を持ち、社会の堂々たる主人として、革命の両輪の一方を力強く回していくことができるようになった」などと書かれている。しかし、これを「ああ、そうですか」と信じるわけに行かないのは、多くの読者も承知していることだろう。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は昨年3月、両江道(リャンガンド)の内部情報筋の話として、北朝鮮当局は2013年から、軍隊経験があるか大学を卒業した女性に限り幹部への登用を認めるようになったと伝えた。大学に進学できるのが、ある程度は家庭環境に恵まれた子どもたちであることを考えれば、その他の少女たちは、ほぼ義務的に兵役に就かなければならない。

そして、軍隊という閉ざされた集団生活の中で、女性に対する人権侵害は加速する。

北朝鮮の軍内では、「マダラス」や「書類整理」などと呼ばれる性的虐待が横行している。たとえば「書類整理」について、軍出身のある脱北女性は、韓国のNGOである北朝鮮人権情報センターの調査に対し、次のように証言している。

「権力のある上官は、自分の娘のような(年齢の)人を連れて……幹部課(人事課)に、書類の整理をできる女性兵士を1人寄越せと。皆、すべてを知りながらも、上官が寄越せと言えばどうにもできません。命令に始まり、命令で終わるのが北朝鮮の軍隊ですから。書類整理と言うけれど、本当はその女性を暴行しようとして呼ぶんです。女性たちにも、上官に逆らう術はありません」

また、朝鮮労働党への入党を推薦する権限を悪用し、女性兵士に性上納を強いる行為も横行している。しかし、社会全体の人権意識が希薄で、「性的暴行」という言葉すらない北朝鮮で、女性たちは自分が受けた被害が人権侵害だと気づかずにいる。また、問題になっても、処罰されるのは女性の方だったりもする

もっとも、北朝鮮経済がない崩し的に資本主義化していくなか、市場の主人公となった女性らは自我と自己主張を強め、もはや男性から一方的に虐げられる存在ではなくなりつつある。閉鎖された軍隊の腐敗ぶりが際立って見えるとも言える。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kohyoungki/20180802-00091588/