官民そろった「嫌がらせ」
 【北京今川勝照】台湾の蔡英文総統が12日、中南米歴訪の経由地の米国で立ち寄った台湾系のカフェチェーン「85℃」に、中国のネットユーザーが「台湾独立派企業」と非難を浴びせ、不買を呼び掛ける事態となっている。中国の習近平政権が「一つの中国」原則を受け入れない蔡政権への圧力を強めていることが背景にあり、官民そろった「嫌がらせ」が広がる可能性もある。

1000店のうち6割が中国に
 「85℃」は台湾や米国、中国などで千店舗余り展開し、6割は中国。蔡氏が米ロサンゼルスの店舗を訪れた写真が公開されると、中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」の85℃の公式アカウントには「台湾独立を支持する企業は出ていけ」などの書き込みが殺到し、ネット注文で飲食店の出前を請け負う中国国内の業者も相次いで85℃の注文受け付けを中止。15日には福建省の地方政府が突如、85℃の店舗に衛生面の行政指導を行った。

「出前が全くなくなり、売り上げは数割減」
 中国の現地法人は15日、中台を不可分の領土とみなす「一つの中国」原則を支持する声明発表に追い込まれたが、北京市内の85℃の店舗の店員は16日、北海道新聞の取材に対し「出前が全くなくなり、売り上げは数割減った」と話した。

 中国進出企業を巡っては、在韓米軍配備の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の用地を提供した韓国ロッテグループが中国当局の報復措置や不買運動を受け、昨年から今年にかけて、中国で112店舗展開していたスーパー事業の撤退を余儀なくされた例もある。

無印良品の中国現地法人には罰金
 習政権の蔡政権への圧力は多方面に拡大している。今年に入り、「原産国・台湾」と書かれた商品を販売したとして無印良品の中国現地法人に罰金20万元(約320万円)を科したほか、海外の航空会社に台湾を中国の一部として表記するよう要求。7月には外交圧力を使って、来年8月に台湾中部・台中市で開催予定だった国際スポーツ大会「東アジアユースゲームズ」を中止に追い込んだ。

 一方、蔡氏はロサンゼルス滞在中、台湾総統として初めて台湾の在外機関を訪問したほか、同行記者団に談話を発表。中国への配慮から台湾総統の公式活動や同行記者の取材を制限してきた米国では「異例」(台湾メディア)の出来事だ。トランプ政権は貿易問題で激しく対立する中国をけん制するため、蔡政権重視の姿勢を見せているとみられる。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180818-00010003-doshin-cn