【ソウル=名村隆寛】北朝鮮が金日成(キム・イルソン)主席の存命中に行った耕地拡大のための大規模な森林伐採を、朝鮮半島統治時代に「日本が行った略奪行為」と断じ、日本に弁済を要求している。

 平壌放送が22日に報じた論説は、日本が「朝鮮の山をはげ山にした」とし「日帝による大々的な山林伐採がわが国を洪水地帯にし、人民の生命、財産を随時脅かす結果をもたらした」と主張。「わが人民は、日本の山林資源略奪の犯罪行為を徹底的に清算し、その代価を受け取らずにはいない」などと訴えた。

 北朝鮮では山林が伐採され、山の斜面にトウモロコシなどの段々畑が造られている。その風景は中朝国境の中国側から肉眼で確認できる。ただ、これは金主席による農業政策の結果だ。

 金主席は1970年代、耕地拡大で農業生産を上げるため、段々畑造りを指示した。人民は命令に従い「速度戦」で山すそや斜面を切り崩し、はげ山にトウモロコシ畑を造った。81年には「自然改造4大課題」の一つとして全国の傾斜地20万平方メートルの開墾が掲げられた。しかし、土留めを造っておらず斜面は崩壊。土砂が流され、85年以降、水害が顕在化し続けた。

 耕地のむやみな拡張は、水害や木材不足、生産性の低下をもたらした。これら「主体(チュチェ)農法」の失敗は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)系の農学者で北朝鮮の元山(ウォンサン)農業大学客員講師を務めた李佑泓(リ・ユホン)氏の著書などで明らかにされている。

 乱伐と山林放置による土砂崩れは、山の実態を目にした金主席自身が「水害の頻発と拡大を招く」と著作で懸念を示していた。しかし、現在の北朝鮮は金日成時代の失政を省みず、日本に責任を転嫁している。将来、日朝国交正常化交渉が再開された場合、不当な要求が出る可能性もある。

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