9月の自民党総裁選で、安倍晋三首相は党内7派閥のうち五つの支持を得た。無派閥議員を含め、405票の国会議員票の7割超を確保した計算で、優位を固めつつある。ただ、参院竹下派が石破茂元幹事長を推すのは、首相にとっては誤算。石破氏陣営は長期政権への不満や来年の参院選に向けた不安があるとみて、態度未定の議員への働き掛けを強めるとともに、党員・党友による地方票獲得に注力する。
 首相支持を表明したのは、最大勢力の細田派(94人)をはじめ麻生(59人)、岸田(48人)、二階(44人)、石原(12人)の計5派。自主投票となった竹下派(55人)の一部や、約70人の無派閥の7割程度も首相を支える見込みで、300票の大台をうかがう勢いだ。二階派幹部は首相3選へ「不安要素はない」と言い切った。

 首相が圧勝を狙うのは、3選後も求心力を維持するためだ。各種世論調査で内閣不支持率は高止まりしており、長期政権への「飽き」を指摘する声や森友・加計問題で世論の不信感は根強い。石破氏との力の差を見せつけて、政局の芽を未然に摘んでおく必要がある。
 石破氏を支持するのは石破派(20人)と参院議員21人を含む竹下派の一部に、無派閥を加えても現時点で「60人程度」(陣営幹部)とみられる。劣勢は否めないが、参院竹下派幹部は「参院選を考えたら、健全な政策論議を国民に見せた方がいい」と主張。こうした判断を、無派閥のベテランは「党内の危機感を代弁している」と解説する。石破派の閣僚経験者は「無記名投票だから、5派からうちに入れる人もいる」と期待を寄せる。
 党員らの首相への不満を指摘する向きは少なくない。石破派幹部は「地元の支持者には『首相がテレビに映ったらチャンネルを変える』という人が多い」と語る。5派の中からも「『自民党支持だが、首相はもういい』と言われる」(中堅)との声が漏れる。
 こうした意見の受け皿となることが石破氏の最重要課題。参院竹下派には職域代表の議員もいるため、石破氏は業界団体を通じて党員への浸透を図る考えだ。
 野田聖子総務相も出馬を目指すが、国会議員20人の推薦人集めが難航。これまでに確保したのは10人未満とみられる。

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