【パリ時事】世界各地で相次いで発覚しているカトリックの聖職者による児童らに対する性的虐待への対応をめぐり、フランシスコ・ローマ法王が窮地に立たされている。

25、26の両日訪問したアイルランドの首都ダブリンでは、カトリック教会の組織的な隠蔽(いんぺい)行為を非難する虐待の被害者ら数千人から抗議のデモで迎えられた。さらに、法王が教会内の虐待疑惑を黙殺したとして、対立する保守派の大司教が辞任を要求。虐待問題が教会内の権力闘争に利用されているとの見方も浮上している。

 法王は25日、ダブリンで虐待の被害者と面会して祈りをささげ、ミサで「許し」を求めた。しかし、デモ参加者らは「法王は小児性愛者を守っている」「被害者には祈り以上のものが必要だ」と批判している。

 翌26日には、バチカン(ローマ法王庁)の駐米大使を2016年まで務めたカルロ・ビガノ大司教が一部メディアに告発文を発表し、法王に13年、虐待の疑惑を報告していたのに対応してこなかったと主張。問題を5年間放置した法王の辞任を要求した。法王は告発文に関し、ダブリンからローマへ戻る機内で記者会見し「告発文を注意深く読めば分かる。この問題について私は何も言わない」と述べた。

 告発文の内容については証拠がなく、真偽は不明。バチカン担当の伊記者は仏紙ルポワンに対し、「明らかに法王のイメージを悪化させるための策略だ」と批判した。ルポワンは、枢機卿に選ばれなかったことからビガノ大司教がフランシスコ法王に「敵意を持っている」と指摘。今回の告発をバチカンの権力闘争の一つと考えている。

 フランシスコ法王は、本来カトリック教会ではタブーの同性愛者や離婚者に寛容なほか、イスラム教スンニ派の最高権威者らと会談するなど歴代の法王とは一線を画している。インターネット交流サイト(SNS)を多用し、外遊先では一般人との写真撮影に気軽に応じる。キリスト教徒以外にも人気が高い。

 教会内の保守派はこうした法王のリベラルな政策に否定的だ。ビガノ大司教は「教会内に存在する同性愛者の人脈を根絶やしにしなければならない」と訴えており、法王の改革が旧来の教会の権威を弱め、既得権を失う事態に危機感が強い。バチカンの主導権奪回に向け、保守派の画策は続きそうだ。 

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