日本を訪れる外国人の数は年々増加し、2017年は2,800万人を超え過去最高に。日本は「クールジャパン」を掲げて発信していますが、実際にはどんなところが観光客に響いているのでしょうか。WEBライターのセブ山さんが、外国人観光客が「何気なく」撮った写真から、「知らない」日本の姿を紐解いていきます。すると、「回転ずし」や「ウォシュレット」だけでは驚かない、リアルな声が集まってきました。

外国人観光客のカメラの中身、聞いてみた
こんにちは、セブ山です。

ヒトや出来事に対して、実験・検証をおこない、「文化」について研究しております。どうぞよろしくお願い致します。

そして本日は、ある仮説を検証するために、浅草・雷門にやって来ました。その仮説とは……。

「外国人観光客のカメラの中には僕らの知らない日本がある」

自分では、自分の姿を見ることはできません。

他者の目を通してでないと、自分の魅力的な部分や、改善点を知ることは不可能です。

それは、「日本」という国に住んでいる私たちにも同じことが言えます。

そこで暮らしているがゆえに、日本の良いところ、悪いところが、正しく見えていない可能性があります。

そこで、外国人観光客が日本で撮った写真を見せてもらえば、僕たちが気付いていない日本の良いところ・悪いところがわかるのではないかと考えました。

「いつも見えている風景」「見飽きた風景」に、人はシャッターを切りません。

「はじめて見る風景」「自分の価値観の外にある風景」を記憶に残そうとして、人は写真を撮ります。

ということは、外国人観光客が日本で「何気なく撮った写真」を見れば、彼らが素直な感情で「いいね!と思ったところ」がわかるという仮説です。

その部分こそが、自分たちでは気付けていない本当の魅力的な部分なのかもしれません。

そこで今回は、日本に遊びに来た外国人観光客の方々に、観光地で撮ったものではなく、「街中で何気なく撮った写真」を見せてもらいます!

はたして、外国人観光客は日本のどこをどのように切り取っているのでしょうか?

1組目 アメリカ人のナイスガイコンビ
まず最初にお話を伺ったのは、政府系機関に勤めているというコーリーさん(31)とブライアンさん(32)の公務員コンビ。

マンガやアニメで日本の文化を知り、実際に自分の目で見たくなったから日本に来たとのこと! クールジャパンですね!

セブ山「こんにちは! 今、外国人観光客のかたに、日本に来てから撮った写真を見せてもらっているのですが、もしよければ拝見させてもらえないでしょうか?」

コーリーさん「いいよ! でも、昨日は雨が降ったからあまり外を歩いていないんだよね。なにか撮ったかなぁ?」

ブライアンさん「昨日、アレを撮ってたじゃん」

セブ山「アレ?」

コーリーさん「ああ、アレね! たしかに1枚だけ撮ったかな!」

コーリーさん「トイレを。」

セブ山「あはは! いいですね!」

コーリーさん「そう? 面白かった?」

セブ山「僕にとっては『見慣れた公衆便所の写真』なので、それをあらためてまじまじと見せられると、なんか面白くて笑ってしまいました」

コーリーさん「そっか、日本人のキミにとっては『ただのトイレの写真』だもんね!」

セブ山「やっぱり日本のトイレは有名なんですか?」

コーリーさん「有名だよ! とにかくキレイだって! 旅行前に、日本のトイレについて書かれたウェブサイトでしっかり予習して来たよ」

セブ山「トイレの予習! そんなサイトがあるんですね! なるほど、いまやジャパニーズトイレはひとつの『エンタメ』になってるんですね。ちなみに、実際に使ってみましたか?」

コーリーさん「もちろん!」

セブ山「どうでしたか?」

コーリーさん「最高にクールだったよ!」

セブ山「イェーイ!」

《日本のトイレは、最高にクールなエンターテインメント!》

もうひとりのブライアンさんは……?
セブ山「ブライアンさんは、何か撮影されましたか?」

ブライアンさん「昨日、到着したところで日本滞在1日目だから、あんまりないけど、これとかどうかな?」

セブ山「ん? なんか、すごく古い車ですが、これはどこで撮った写真ですか?」

ブライアンさん「江戸東京博物館で撮った軽自動車だよ」

セブ山「ああ、なるほど! 両国国技館のすぐ近くにある、東京の歴史と文化をふりかえる博物館ですね! こういう展示物もあるんだ!」

ブライアンさん「そうそう、いろんな日本の古い風景を観ることができて、すごく楽しかったよ。その中でも1960年頃のクラシックカーが素晴らしかったから撮ったんだ。日本で最初に量産化された軽自動車って書いてあったよ」

セブ山「へー!めっちゃレトロですね!」

ブライアンさん「おもしろいでしょ! アメリカの車は長いし、でかいけど、日本の車ってすごく小さいから驚いたよ」

セブ山「たしかに、いわゆるアメ車に比べたら、日本の軽自動車は小さすぎますよね」

ブライアンさん「でも、実際に日本に来てみて、納得したよ。日本は道も小さいし、駐車場も驚くほど小さいからね。とめられるように作ったんだろうね」

セブ山「あれ? 逆では? あれ? 違うかな? 車が先? 道が先?」

《日本は、車の大きさにあわせて道も駐車場も小さい国!?》

2組目 イタリア人カップル
続いては、日本に来て3日目のヴェロニカさん(女性)とマティアさん(男性)のイタリア人カップル。

2週間かけて東京・京都をめぐる旅行の途中なんだとか。

セブ山「こんにちは、今、お話を伺ってよろしいでしょうか?」

マティアさん「ええ、いいですよ。どうしました?」

セブ山「今、外国人観光客のかたに、日本に来てから撮った写真を見せてもらっているのですが、もしよければ拝見させていただけないでしょうか?」

ヴェロニカさん「ああ、残念だわ。写真データがすぐ一杯になっちゃうから、毎朝、写真データをパソコンに移しちゃっているの。今、カメラに残っているのは、たいした写真じゃないかも。それでもいいかしら?」

セブ山「それで全然いいんです! 観光地で撮った記念撮影ではなくて、観光客のみなさんが、日本のどこを切り取ったのか見てみたいので!」

ヴェロニカさん「OK、それなら一緒に見ましょう!」

セブ山「ありがとうございます!」

マティアさん「と言っても、今日ここに来るまでの地下鉄の写真ばっかりだと思うよ。キミにとっては、そんなに珍しいものは写ってないかも」

セブ山「いえ、それでいいんです! それが見たいので!」

ヴェロニカさん「なにか気になった写真があったら教えてね!」

セブ山「ありがとうございます。 さっそく気になったのですが、この駅の地面の写真ってどうして撮られたんですか? シャッターを間違って押して撮っちゃったんですか?」

ヴェロニカさん「いいえ、押し間違いじゃないわ。駅のどこにもゴミが落ちていなくて、驚いたので撮ったの」

マティアさん「本当にピカピカだったよね。駅の床でご飯が食べられるくらい」

セブ山「イタリアの駅はこんなにきれいじゃないんですか?」

ヴェロニカさん「イタリアじゃ考えられないわ。こんな風にゴミが落ちていないことってありえない」

セブ山「たしかに、この写真だけ見たら、どこかのホテルのロビーの床だって言われてもわからないかも」

地下鉄、「難しい」と感じるのは……?

セブ山「今度は、地下鉄の乗り換え通路の写真を撮っていますね」

ヴェロニカさん「これもいい写真でしょ! 奥の方までずーっと地下通路が続いているの! 歩くのは少し大変だったけどね」

マティアさん「そうそう、日本の地下鉄って路線を乗り換えるために、改札を出てまた入ることになるのが面倒だよね」

ヴェロニカさん「1年間、ロンドンに留学していたんだけど、ロンドンだともっと乗り継ぎがラクだったわ」

セブ山「なるほど、『路線を乗り換えるのに、改札を出てまた入る』を当たり前のようにやっていたけど、よく考えたら面倒ですね」

マティアさん「あと、地下鉄は見つけるのが難しいよね」

セブ山「見つけるのが難しい? 地上からの出入り口がわかりづらいってこと?」

マティアさん「そうじゃなくて、自分が乗るべき電車が見つけづらい」

セブ山「ああ、なるほど!」

マティアさん「電光掲示板はあるんだけど、いろんなタイミングでいろんな電車がくるから混乱するんだよね。自分が乗る電車がどれなのか見つけるのが大変」

セブ山「たしかに『本数が多い』というメリットも、見る角度を変えたら『どんどん次の電車が来るから慣れてないと混乱する』というデメリットになるのかも」

マティアさん「でも、すごく些細な問題だから気にしないでね!」

ヴェロニカさん「日本の駅は大きいから仕方ないと思うしね」

セブ山「貴重なご意見ありがとうございます。善処しますね。(僕は何の権限もないけど)」

《日本の地下鉄は、すごくきれいだけど、乗り換えがわかりづらくて、少し面倒くさい!》
3組目 ロシア人の姉妹

3組目は、ケイトさん(22)とマーシャさん(20)のロシア人の姉妹。

2週間かけて東京、福岡、神戸、鹿児島など日本各地を巡る旅の途中とのこと。

セブ山「こんにちは! 今、外国人観光客のかたに、日本に来てから撮った写真を見せてもらっているのですが、もしよければ拝見させていただけないでしょうか?」

ケイトさん「いいですよ。待ち合わせの時間まで少しあるので」

セブ山「ありがとうございます! さっそくですが、どんな写真を撮りましたか?」

ケイトさん「昨日、和歌山県で滝を撮ったわ。すごくよかった」

セブ山「滝ですか! 渋いですね!」

ケイトさん「その近くの竹林や森も良かったわ」

セブ山「でも、ロシアにも滝や森などの自然はたくさんありそうですよね?」

ケイトさん「植物の生態がロシアとは違うのが面白いの!」

セブ山「お姉さんは自然がお好きなんですね。妹さんはどんなものを撮りましたか?」

ケイトさん「妹は動物が好きなのよね。なにか撮った?」

マーシャさん「ええ、奇妙な動物がいたから撮ったわ!」

セブ山「奇妙な動物?」

マーシャさん「ええ! 見たことない不思議な動物だったわ! ほら!」

《見せてくれたのは、姉・ケイトさんの変顔の写真》

ケイトさん「あははは、やだもー!」

セブ山「あはははは、仲良しですね! 素敵です!」

「あれ、この写真って……」

ケイトさん「もー! 恥ずかしい! ほらっ、ちゃんと他の写真を見せて!」

マーシャさん「う~ん、なんかあったかなぁ?」

セブ山「観光地じゃなくて、街中で撮った写真はありませんか?」

マーシャさん「う~ん、街中で…撮った写真…。あんまり撮ってないかも」

ケイトさん「あっ、この写真は? 可愛い!」

マーシャさん「こんなのでいいのかなぁ?」

セブ山「何でもいいです! ぜひ見せてください!」

マーシャさん「じゃあ、はい、どうぞ」

セブ山「あれ、この写真って……」

マーシャさん「真っ白な犬の像があって、可愛かったので撮ったの」

セブ山「ああ、『お父さん』ですね」

マーシャさん「え?何?」

セブ山「この犬は『お父さん』です」

ケイトさん「どういうこと?」

セブ山「日本では、この犬は『お父さん』です」

マーシャさん「意味がわからないわ」

《日本は、白い犬を「お父さん」と呼ぶクレイジーな国!》

4組目 インドネシア人女性3人組
お次は、インドネシアから遊びに来たというヤニさん(28)とスワストリさん(35)にお話を伺いました。

セブ山「こんにちは! 今、外国人観光客のかたに、日本に来てから撮った写真を見せてもらっているのですが、もしよければ見せてもらえないでしょうか?」

ヤニさん「いいですよ。でも、着物体験の予約の時間があるから、少しだけね」

セブ山「ありがとうございます! それでは手短に! 日本に来てどんな写真を撮りましたか?」

スワストリさん「まだショッピングセンターで買い物したくらいで、今から観光するところだからあまり撮ってないかも」

セブ山「観光地以外で撮影されたものを見たいので、それで全然大丈夫です! ぜひお買い物の時に撮影された写真を見せてください!」

ヤニさん「そんなのでよければ、はい、どうぞ」

セブ山「あれ? これは、ビルの前ですね……?」

ヤニさん「ショッピング前に、友達を待っている時に撮ったの」

セブ山「なんで撮ったんですか?」

ヤニさん「ビルに大きなモニターがあったから」

セブ山「え? インドネシアには、こういう大きなモニターがついたビルはないんですか?」

ヤニさん「あるけどね(笑)」

セブ山「え? え? あるならなんで撮ったんですか?」

ヤニさん「えっと、なんていうか『せっかく日本に来たし撮っておかないと』という感じで撮影したの」

スワストリさん「記念写真ね」

セブ山「あれ? この写真、よく見たら『渋谷』ですか?」

ヤニさん「そうそう、渋谷のスクランブル交差点!」

セブ山「なるほど、これは『スクランブル交差点』の記念写真なんですね!」

スワストリさん「そうそう!」

セブ山「スクランブル交差点は、行ってみたかった場所なんですね!」

スワストリさん「え?」

セブ山「え……?」

ヤニさん「う~ん、行ってみたかったっていうわけじゃないけど、せっかく日本に来たし、ここは撮っておかないと、って感じかな」

セブ山「ああっ、なるほど、なんとなくわかってきた! 『大阪に旅行してきた感じ』を出すために、道頓堀のグリコの看板の前で撮影する感じか!」

スワストリさん「あ、そろそろ時間だわ。行かなきゃ!」

セブ山「ありがとうございました! 日本、楽しんで来てくださいね!」

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