中国共産党は、中国最大の資源である人口のうち、みずからの統治に邪魔になる勢力を抹殺すると同時に、これを巨大な利得へ転化させるという、悪魔のようなビジネスモデルを発明したということになる。

◆狙われる地下キリスト教徒たち

 急拡大する市場の要求に供給が追いつかず、在庫が払底しはじめたということなのだろう。前出のカシュガル空港に出現した通行標識は、臓器収奪の標的が法輪功信徒だけでは賄えず、ウイグル民族へも移行しようとしていることを示している。

 外国人客も利用する空港のフロアに「人体器官」優先の標識が堂々と提示されているということは、中国当局には臓器の収奪に対し、まったく罪の意識がないということだ。

 ウイグル人=イスラム教徒ばかりではない。米国に本拠を置くキリスト教抑圧監視団体「対華援助協会(チャイナ・エイド)」によれば、全国に1億2000万人いる中国のキリスト教徒が現在、猛烈な勢いで公安の摘発を受けているという。昨年だけで20万人以上が迫害に遭い、内、3700人が拘束された。

 特に厳しい弾圧に晒されているのは、政府の認可がないため教会を持てず一般の民家等で礼拝を行う家庭教会(地下教会)の信徒たちだ。中国には現在、このような家庭教会がおよそ2000あり、約9000万人が所属すると言われるが、とりわけ深刻な被害に遭っているのは中国共産党政権への厳しい批判を隠さないキリスト教系の新興宗教団体・全能神教会の信徒たちである。生命の危険を察した信徒たちは国外逃亡を図り、昨年まで30名ほどだった在日の信徒も現在その10倍以上に増えて難民化している。

 これら約9000万人の地下キリスト教徒が、法輪功、ウイグルに次ぐ第3の臓器源として新たに狙いを定められているであろうことは想像に難くない。

 そして現在、あろうことか中国は、この悪魔のビジネスモデルを「中国スタンダード」として世界へ輸出しようと目論んでいる様子が窺える。

昨年11月、中国臓器移植発展基金会(COTDF)は臓器割当に関する合意をマカオ衛生局と締結。マカオでは今年1月から中国から臓器が輸入され、中国モデルによる移植スタッフの養成もはじまった。マカオより早く、COTDFには既に香港も加盟している。

 中国の野心はこれにとどまらない。昨年昆明市で開催された中国臓器移植会議で前述の黄潔夫・中国衛生部元副部長は、この臓器輸出を「一帯一路」構想の一部として発表した。つまり、悪魔のビジネスモデルをユーラシア、アフリカ、オセアニアのスタンダードに、ひいては世界標準に広げようという戦慄の未来図を広げてみせたのである。

◆米中「人権戦争」が始まった

 このところ中国に対して強硬一辺倒のトランプアメリカは、今度は「人権」を盾に攻撃を開始したようだ。

 ペンス米副大統領は去る7月26日、ワシントンの講演で「中国政府は数十万人、もしくは数百万人の規模でイスラム教徒のウイグル族を再教育施設に収容し、信仰の自由と文化的なアイデンティティを失わせようとしている」と厳しく非難した。さらに同日、人権問題担当のカリー国連大使が公聴会で「習近平政権が去年の4月からテロとの戦いを名目にイスラム教徒に対する抑圧を強めている」と述べた上、昨年から少なくとも数十万人のウイグル人を不当に拘束・監禁していると深い懸念を表明してもいる。

 これに直ちに反応した中国は翌日、外務省報道官が会見を開き、「宗教を利用した内政干渉を直ちにやめよ」と、強い不快感を表明。貿易戦争に続いて人権戦争がはじまった。

「内政干渉」と中国は言うが、しかし、現代にあっては「人道的干渉は内政干渉には当たらない」と考えるのが国際社会の常識であり、例えば独裁国家の非道な人権問題に介入することはむしろ国際社会の責務であるとさえ言える。

 日本の外務省もまた、人権外交と内政干渉の均衡についてこう述べている。

〈すべての人権及び基本的自由は普遍的価値である。また、各国の人権状況は国際社会の正当な関心事項であって、かかる関心は内政干渉と捉えるべきではない〉(外務省HPより)

 ならば、日本政府は現在この時点にも横行している中国におけるウイグル他少数民族弾圧、そしてウイグルと法輪功を最大の標的とする国家ぐるみの臓器狩り犯罪に関し、音量を最大にして非難の声を浴びせるべきだ。

●のむら・はたる/1963年生まれ。立教大学卒。外国人向け雑誌編集者などを経てフリーに。主著に『中国は崩壊しない─毛沢東が生きている限り』『北朝鮮 送金疑惑』、『Z(革マル派)の研究』、編著書に『わが朝鮮総連の罪と罰』『北朝鮮利権の真相』『沖縄ダークサイド』『男女平等バカ』など多数。

http://www.xn--cbkd3otc9fsf1240b77xc.tokyo/wp-admin/post-new.php