米中央情報局(CIA)長官時代も含め4回目となる訪朝を終えたポンペオ米国務長官は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が地下核実験場とミサイル発射施設への国際査察官の受け入れを表明したと明かし、非核化に向け一定の成果があったと強調した。だが、その後、訪中したポンペオ氏と中国の王毅国務委員兼外相は、貿易摩擦などを巡り露骨に衝突。米国と対立する中国、ロシアに北朝鮮が近づき、米国をけん制する姿勢も浮かび上がってきた。

 ◇「習氏、近く訪朝」中国側否定せず

 【北京・河津啓介】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は8日、中国の習近平国家主席が近く訪朝する見通しと明かした。これについて、中国外務省の陸慷(りく・こう)報道局長は同日の定例記者会見で「現時点で提供できる情報はない」と述べるにとどめ、否定しなかった。実現すれば、中国の最高指導者としては2005年10月の胡錦濤氏以来。激化する米中摩擦が朝鮮半島情勢に波及し、米国をけん制する色合いが強くなりそうだ。
 今年3月以降、金委員長は3度訪中しているが、習氏は12年に最高指導者に就任した後、北朝鮮を訪問していない。両首脳の相互往来が復活すれば、一時関係悪化も指摘された中朝関係の正常化を決定づける意味を持つ。

 一方で、米中関係が半島情勢の不確定要素になりつつある。米国のポンペオ国務長官は8日、北京で王毅国務委員兼外相と会談。半島情勢を巡る連携の重要性を確認したが、王氏は、米国の対中批判を念頭に「協力には、支えとなる健全で安定的な両国関係が必要だ」と条件を付けた。

 会談では、王氏が米国に「いわれなき非難や核心的利益を損なう誤ったやり方をやめるべきだ」と貿易問題や台湾問題などを巡る最近の米国の対中強硬姿勢に対し直接抗議、ポンペオ氏が「両国には根本的な意見の相違がある」と応じる厳しいやりとりもあった。習氏との会談は設定されず、米国務長官への異例の対応に、米国への強い不満をにじませた。

 ◇正恩氏、訪露の動き

 【モスクワ大前仁】インタファクス通信によると、ロシア、中国、北朝鮮の3カ国は9日、モスクワのロシア外務省で外務次官会談を開いた。朝鮮半島情勢を協議した模様だ。韓国の文大統領は8日、北朝鮮の金正恩委員長のロシア訪問について「近いうちに実現する見通し」と発言。金委員長の訪露を示唆する言動も相次いでいる。

 外務次官会談にはロシアのモルグロフ、中国の孔鉉佑(朝鮮半島問題特別代表を兼務)、北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)の各外務次官が出席。米朝首脳が再会談に臨む見通しが広がっていることから、北朝鮮は友好国である中露との協議に臨んだとみられる。また金委員長のロシア訪問について話し合われた可能性も高そうだ。

 プーチン露大統領は9月にロシア極東ウラジオストクで開いた経済フォーラムに金委員長を招請したが、金委員長の参加は実現しなかった。同月に北朝鮮を訪れたマトビエンコ上院議長は今月上旬に韓国を訪れた際、金委員長の訪露日程を調整していることに言及した。ペスコフ大統領報道官も8日、金委員長の訪露について「時期、場所、形式を巡る調整を続けている」と説明している。

 ロシア通信によると、北朝鮮国営の高麗航空の貨物機が7日、ウラジオストク国際空港に到着した。北朝鮮が6月の米朝首脳会談の際に使用した機種だという。この際は金委員長の専用車を運んだとの情報があり、金委員長の訪露に向けた準備である可能性もある。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181009-00000067-mai-int