政府は16日、韓国政府に求めていた文在寅(ムン・ジェイン)大統領の年内訪日を断念する方針を固めた。慰安婦問題に関する日韓合意(2015年12月)の履行や海上自衛隊の旭日旗掲揚問題を巡る摩擦が表面化。韓国政府が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)・朝鮮労働党委員長の訪韓に向けた調整に追われていることもあり、年明け以降に改めて訪日時期を調整すべきだと判断した。

 日韓両政府は、1998年の日韓共同宣言20周年にあたる今年、両国関係の進展を模索していた。文氏は5月に日中韓首脳会談に合わせて来日し、李明博(イ・ミョンバク)大統領(当時)以来となる約7年ぶりの単独訪日を希望。安倍晋三首相も9月の米ニューヨークでの首脳会談などで、年内を念頭に「適切な時期」での訪日を求め、相互往来を軌道に乗せる考えだった。

 しかし、日韓合意に基づいて韓国政府が設立した「和解・癒やし財団」について、韓国の閣僚が相次いで解散を示唆。文氏も9月の首脳会談で「(国内では)解体を要求する声が強い」と述べ、日本側は「日韓合意の破棄につながる」と反発していた。今月11日に韓国で行われた国際観艦式では、韓国側が自衛艦旗の旭日旗掲揚の自粛を要請。日本側は護衛艦派遣をとりやめ、その後に外交ルートで抗議する事態に発展した。

 さらに、日本の植民地時代に強制労働させられたとする元徴用工による損害賠償請求訴訟の判決が年内にもある。日本政府関係者は「歴史問題を抱え、文氏の年内訪日は難しい」と語った。外務省幹部は、韓国が金委員長の初のソウル訪問を年内に目指しているとして「韓国も訪日に気が回らないだろう」と指摘した。

 ただ、対北朝鮮政策での連携を見据えれば、安倍政権も関係悪化までは望んでいない。文氏は来年6月に大阪で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて来日する予定だが、別の外務省幹部は「引き続き訪日を求める」と話し、単独訪日のタイミングを探る考えを示した。

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