【AFP=時事】西アフリカの貧困国シエラレオネは今年、新空港建設のための資金の融資契約を中国輸出入銀行(China Exim Bank)と結んだ。だが、その数か月後、工費推定4億ドル(約450億円)とされたマママ(Mamamah)国際空港の建設計画は立ち消えとなった。シエラレオネの新政府が、契約は「不経済」であるとして破棄したのだ。

新政権は新空港を建設するのではなく、十分に活用されていない既存の空港を利用する方針を示し、そこへのアクセス改善を図る意向を明らかにした。

 破棄の決定は、アフリカで膨れ上がる対中債務について国際社会からの懸念が高まる中で表明された。中国からの融資については、個人レベルで批判されることはあっても、政府レベルで問題視されることはアフリカではほぼ皆無だった。

■反乱ではない

 コートジボワールの政治アナリスト、ジャン・アラブロ(Jean Alabro)氏は、「これは反乱ではない。アフリカ諸国は反乱などできない。融資を求めているのだから」と、同国の事実上の首都アビジャン(Abidjan)でAFPの取材に述べた。

 また、国際コンサルタント会社コンフィダンツ(Konfidants)のマネジングパートナー、マイケル・コトー(Michael Kottoh)氏は、「シエラレオネにおける中国のポートフォリオミックスが単に変わるだけで、大幅に縮小することはないだろう」との見通しを示しながら、「長期的には、規模と評価が上昇する可能性さえある」と続けた。

 今後、シエラレオネが既存の空港へと続く橋を入り江に建設すると決めた場合、このプロジェクトに融資する可能性が最も高いのはやはり中国になるというのが大方の見方だ。同プロジェクトをめぐっては、その建設費は推定10億ドル(約1130億円)と報じられている。

■最大の投資パートナー
 中国は過去20年で世界の経済大国として頭角を現し、同時にアフリカでの存在感も増大させた。
保守系シンクタンク・経済研究機関アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)の調査によると、中国は海外投資および海外での建設事業に、2005年から2018年で計1兆8700億ドル(約210兆8000億円)を費やしている。このうち2980億ドル(約33兆5000億円)がサハラ以南のアフリカ向けで、アフリカは中国にとってアジア、欧州に次いで3番目の投資先だった。

 結果、アフリカにとって中国は、インフラ投資の最大のパートナーになった。中国の投資額は、アフリカ開発銀行(ADB)、欧州連合(EU)、国際金融公社(IFC)、世界銀行(World Bank)、先進7か国(G7)にロシアを含めたG8の投資総額を上回っていた。

 中国の投資先の1位はナイジェリアで492億ドル(約5兆5500億円)、2位がアンゴラの245億ドル(約2兆7600億円)、3位がエチオピアで236億ドル(約2兆6600億円)だった。事業別では、道路、鉄道、橋などの交通インフラとエネルギー関連がそれぞれ全体の3分の1を占め、鉱業がそれに続いた。

 中国の投資は現在、アフリカの債務全体の約5分の1を占めており、国際通貨基金(IMF)などは、アフリカ諸国の返済能力に懸念を示している。だが、アフリカ諸国の多くの政府が、そのような懸念は大げさで偽善的だと思っていると、アラブロ氏は指摘する。

 アフリカのリーダーらは、世界の経済市場を活用できることに気付き、またIMFや欧米諸国との2か国間融資よりも、中国からの融資の方が有利であることを実感し始めた。とはいえ、このような大規模取引においても問題がないということはしっかりと確認すべきだとアラブロ氏は指摘する。同氏はその例として、契約の透明性、貧困国における法的・技術的・倫理的なセーフガードの盛り込み、竣工済み事業の運営管理とその利益が中国にとって有利に働く内容となっていないかなどの問題を挙げた。

■コストと利益
 中国融資による事業は、経済的に実現可能といえるのだろうか? またシエラレオネのジュリウス・マーダ・ビオ(Julius Maada Bio)大統領が言うように、国民全体に利益をもたらすものではないのだろうか?

 アナリストは、インフラ事業の費用対効果は通常、中・長期で評価されるため、操業開始から数年での事業の評価は難しいと指摘する。

 だが、フランスの経済・財務省は先週、中国の融資は「経済的に実現不可能となるリスクを増加させる」と指摘する分析を発表した。また、景気の悪化や生産性低下などのリスクもあり、事業そのものが無駄になる可能性もあるとした。

 他方で、米ウィリアム・アンド・メアリー大学(College of William and Mary in Virginia)の研究プロジェクト「エイドデータ(AidData)」は、衛星から撮影した夜間のアフリカの画像を調べ、そこに捉えられていた光の量から経済成長の度合いを測定し、中国事業のアフリカへの影響を探った。

 その結果、中国の開発事業、特に道路や橋などの「連結インフラ」に関しては、周辺地域の経済成長を平等にし、各国間の経済格差を縮小する役目も果たしていることが見て取れたという。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181023-00000005-jij_afp-int&p=3