今回の安倍総理の中国訪問について、北京から井上記者の報告です。

 実質1日半という短い滞在にしては、李克強首相、習近平国家主席と合わせて3回もの食事会が設定されたり、人民大会堂を丸一日使って特定の国とのフォーラムが催されるのも珍しいことで、中国側もかなり力が入っている印象です。

 私は4年前からここにいますが、2014年の首脳会談で習主席がカメラの前でにこりともしなかったことを鮮明に憶えています。尖閣国有化以来、一時最悪とまで言われた関係を象徴するような場面で、中国の場合、トップがそういう表情を見せると、経済界も、民間も、日本とは付き合わない方が無難だという雰囲気になります。裏を返せば、今回の訪問をきっかけに、日中の間ではさらに多くの交流やビジネスが生まれることになりそうです。

<Q.両首脳の表情を映像で見ていても、以前とは雰囲気が変わってきたという感はあるのですが、その思惑はどうとらえるべきですか?>

 中国がここまで急速に日本に歩み寄っている背景には、アメリカのトランプ大統領の存在があります。米中の貿易戦争が泥沼化する中で、“自由貿易体制を守る”という名目で日本と手を握ることで日米関係にくさびを打つという狙いが透けて見えます。日本側も今回、名だたる企業のトップが総理に同行していることからもわかる通り、経済界を中心に関係のさらなる改善に前のめりです。

 ただ、実際のところは尖閣諸島や南シナ海など、両国の間に横たわる問題は何ひとつ解決していません。多少の波風が立っても崩れない安定した関係を築くことが出来るかどうか。本当の意味での関係改善は、これからです。

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20181026-00000076-jnn-int