韓国大法院(最高裁)が日本企業に元徴用工への損害賠償を命じた判決を巡り、韓国大統領府が沈黙を続けている。文在寅(ムンジェイン)政権は従来、南北関係への支援や朴槿恵(パククネ)前政権を批判する思惑から日本との協力を訴える程度で、必ずしも日韓関係に強い関心を払っているとは言い難かった。国民感情を刺激し、解決が困難な徴用工問題に取り組む姿勢を十分には示せずにいる。

 韓国政府は判決があった10月30日、李洛淵(イナギョン)首相の名前で声明を発表。文在寅大統領は11月1日、国会で施政方針演説をしたが、徴用工問題には触れなかった。大統領府関係者は「国務総理室に任せてある。我々は関与しない」と語る。

 文政権は従来、外交分野で南北関係を最重要課題としてきた。また、慰安婦問題を巡って日本と対立した朴前政権を意識して、未来志向の日韓関係を訴えたが、朴前政権が日本と合意した慰安婦合意には冷淡な態度を取っている。

 韓国外交省も、大統領府に十分な意見具申ができなかった。日本を担当する外交省東北アジア局幹部らは近年、慰安婦問題の処理など政治案件に巻き込まれて次々に更迭された。外交官出身ではない康京和(カンギョンファ)外相の発言力も弱く、大統領府への影響力はなかった。

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