韓国・済州(チェジュ)島で1948年、島民3万人が犠牲になったとされる「四・三事件」の慰霊碑が、遺族が暮らす大阪市天王寺区の統国寺に建立され、18日午後1時半から除幕式が開かれる。事件は韓国や在日コリアンの間で長らくタブーとされていたが、近年検証が進み、遺族らは日本でも伝え残したいと願っている。

 「島から持ってきた石や」。事件で叔父や親戚を亡くした呉光現さん(61)は9日、統国寺の境内で、済州島の叔父の故郷から持ってきた石を高さ3・6メートルの慰霊碑に並べた。

 済州島からは戦前、多くの島民が仕事を求めて大阪に渡航した。一部は日本の敗戦で島に戻ったが、事件前後、難を逃れて大阪に密航する島民もいたという。

 80年代後半から、韓国の民主化とともに事件の検証が進み、2003年には盧武鉉(ノムヒョン)大統領(当時)が公式に謝罪を表明。呉さんら大阪などに住む遺族も00年に遺族会を結成し、慰霊祭やシンポジウムなどを行ってきた。

 慰霊碑は、大阪産業大の藤永壮教授(朝鮮近現代史)が「事件から70年を機に記憶の継承を」と提案し、今年2月から遺族らと募金活動を始め、両国の約350の個人や団体から目標を上回る約500万円を集めた。

 慰霊碑には「故郷とのつながりを感じられるように」と島の石を並べることにし、当時、島内にあった村の数と同じ178の石を、現地の許可を得て運び出した。

 呉さんは「事件は島民が半島の分断を拒む中で起きた悲劇。碑を平和な社会を作る礎にしたい」と話した。(桑田睦子)


 ◆四・三事件=1948年4月3日、朝鮮半島の南北分断につながる「南朝鮮」単独での総選挙に反対する島民らが警察署を襲撃。54年にかけ、軍や警察による鎮圧で、島民3万人が犠牲になったとされる。文在寅(ムンジェイン)大統領は今年4月3日の追悼式典で「国家による暴力」だったとして謝罪した。

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