◇EU加盟国の結束の乱れを警戒

 【パリ賀有勇、ベルリン中西啓介】欧州連合(EU)は25日開いた臨時首脳会議で、英国と離脱に関する条件で合意したが、英下院が承認する見通しは立っていない。「英国なきEU」のけん引役を担う仏独両国では、先行きへの警戒感が漂う。仏独両政府はEU加盟国の結束と経済への影響を最小限にするため、楽観的な見通しを戒める姿勢を鮮明にしている。

 合意を受け、フランスのマクロン大統領は「祝うべき日でも服喪の日でもない。主権者の選択だ」と述べ、英国民の決断を尊重するとともに、英国の利益を守りつつEUと「永続的に協力していく道筋」を模索したメイ英首相に敬意を示した。

 マクロン氏はこれまで「EU抜きでうまくやれると言う人は、うそつきだ」と、反EUの右派ポピュリズム(大衆迎合主義)勢力を念頭に、離脱交渉に対して厳しい態度を堅持してきた。多額の「手切れ金」支払いなど、英国にとって厳しい合意となった背景には、EUの結束に影響しかねない安易な譲歩を拒否するマクロン氏の強い姿勢があった。

 マクロン氏は25日、「EUの脆弱(ぜいじゃく)な面をすべて描き出し、それを改善しなければならない。欧州は再構築が必要で、今後もそれに取り組んでいく」と述べ、欧州の統合深化への決意を示した。

 今後の焦点は、離脱条件を定めた協定案が英下院で承認されるかどうかだ。だが、仏国内の世論調査では、英国民の離脱決断を「なんとも思わない」との回答が6割に上るなど、関心は国内の問題に向いている。調査会社IPSOSは「自己に悲観的なフランス人は国際問題よりも自分たちの問題に目が向かう」と分析する。

 ドイツのメルケル首相は、主要な貿易相手国である英国との離脱交渉合意を重視してきた。独DPA通信によると、メルケル氏は25日、「合意できて良かった。秩序ある離脱と将来の関係構築に向けた条件は整った」と評価し、英下院の審議を見守る考えを示した。

 一方でメルケル氏は「合意は英国議会次第だ。きょうの合意が実を結ぶかどうか注視している」と述べ、楽観できないことを認めた。独誌シュピーゲルは英下院での審議の見通しについて「最初の投票で過半数に達しない可能性が高く、EU幹部もそのシナリオを有力視する」と報じる。

 10万社以上が加盟する独産業連盟のラング代表は「加盟企業は依然として(合意がない)無秩序なEU離脱に準備を進める必要がある」と語り、英国の合意なきEU離脱による関税再導入などに警戒感を強める。

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