日本の排他的経済水域(EEZ)にある日本海の好漁場「大和堆(やまとたい)」周辺での北朝鮮漁船による違法操業問題。海上保安庁と水産庁は今期、大和堆では「北朝鮮漁船の入域阻止」を成し遂げた。しかし、北朝鮮漁船団の操業海域は、大和堆と並ぶ好漁場である「武蔵(むさし)堆」に近い北海道西方など北に拡大している。海保は「予想外」の動きへの対応にも追われた。今後、日本海の取り締まり範囲の拡大が課題となる。(川畑仁志)


 北朝鮮漁船はスルメイカを求め、秋田・男鹿半島沖の大和堆から北海道・留萌(るもい)沖まで移動し、さまざまな海域から日本のEEZに侵入。日本漁船への異常接近も確認され、安全で自由な操業の妨害への懸念は強い。

 「明るさが強い日本漁船の集魚灯(しゅうぎょとう)の光を利用しようとしているのだろう。こちらが見つけたスルメイカを奪われる」。石川県漁協によると、今期のスルメイカ漁では、夜間に無灯火のまま日本漁船に接近してくる北朝鮮漁船があった。

 大和堆周辺で6月に急増した北朝鮮漁船は8月には北上を開始。水産庁が各国の漁船ごとに異なる集魚灯の光量を衛星写真で解析したところ、暗い明かりしか持たない低輝度の北朝鮮漁船とみられる船は9月上旬、武蔵堆に近い北海道西方の日本のEEZ外側に密集していた。

 10月中旬には、津軽海峡西方の日本のEEZ内に多数の北朝鮮漁船が侵入、日本漁船と遭遇する事態も発生した。石川県漁協の担当者は「イカは資源量の減少が指摘されている。安心して漁ができないという今の状況はおかしい」と憤る。

 北朝鮮漁船の北方展開は日本への木造船漂着にも影響を及ぼしたとみられている。今年の漂流・漂着件数は前年比103件増の207件(うち漂着件数は134件、14日現在)。北海道や東北北部(青森、秋田)への割合が増えた。3自治体への漂着は全体の63%を占め、25~29年の13~33%を30ポイント以上、上回った。

 海保の担当者は「10メートル程度の木造船が航行距離を伸ばせば、事故やトラブルのリスクは高まる」と指摘、木造小型船が無理に長距離航海をした結果、遭難したとの見方を示した。

 「昨年は大和堆から追い出す作業に相当な労力が必要だった。今年はあらかじめ巡視船を配備したことで大和堆を空け、日本漁船の操業につなげられた」。海保の担当者はこう自信をのぞかせる。一方、今後の課題について「北方に向かった漁船への対応をしっかりやらなければならない」と指摘した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181216-00000527-san-kr


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