人間関係のコンパクト化がもっとも重要
 支出をできるだけ抑制し、家計をコンパクトにするのはもちろんだが、筆者はこれに加えて、家の中にあるモノや、外部の人間関係もコンパクトにする必要があると考えている。

 人の経済活動とモノの量は基本的に比例している。いろいろなことに手を広げすぎていると、当然、身の回りには関連したモノが増えてくる。人生の後半戦はキャリアを見直す時期なので、それまでの生活で当たり前だった習慣についても見直しの対象とし、場合によってはバッサリと切り捨てる決断をした方がよい。

 もっともシンプルな例では、ゴルフはやらないと決めれば、ゴルフ道具は必要なくなり、その分のスペースは別なことに活用できる。必要なスペースが減れば、同じ家賃でより利便性の高い場所に転居することもできるし、同じ物件に住むにしても、部屋の空間を広く確保できる。

 なぜ部屋のスペースについて言及したのかというと、人は年齢が上がっていくと、同じ行動を取るためにより広いスペースが必要となり、そうした状況に間取りが対応していないとケガのリスクが増えるからである。

 若い時であれば、クローゼットの奥にしまってあったモノを無理な姿勢で引っ張り出すことができたかもしれないが、老後にはそうした無理はきかなくなる。家のスペースに余裕がないと、あちこち不用意にぶつけるようになり、転倒などのリスクが増える。

 高齢者が家の中での転倒をきっかけに要介護に陥るケースはかなり多い。家の中をシンプルにしておくことは、高齢化リスクのヘッジにもなるのだ。

人生のコンパクト化はゆっくりとそして着実に
 先ほどのゴルフ用品の話からも推測できると思うが、所有するという行為は、その人の交友関係と関連性が高い。不必要な人脈が多い人ほど、余分なモノが多く、身の回りが整理されていない可能性が高い。

 キャリアの見直しというのは、人間関係の見直しでもある。

 優先度の低い交友関係とは距離を置き、今後の人生において重要度が高いと思える人にリソースを集中するのが望ましい。結果として、自身の持ち物も整理されてくるはずであり、一連の整理が進んでくると、たいていの場合、食生活も大きく変わる。ムダな会食は減っている可能性が高いので、やはり支出の抑制につながるだろう。

 生活のコンパクト化やキャリアの見直しについてあまり急ぐ必要はない。40代の間にメドを付ける程度の時間感覚でよいので、ゆっくりと、そして着実に進めることが大事である。

加谷 珪一

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181226-00059142-gendaibiz-bus_all&p=2


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