日本産の牛肉が、輸入を禁止している中国で大量に流通しているようだ。不思議な現象のカギを握るのはカンボジア。同国に輸出した日本産牛肉は2009年までゼロだったが、17年には全体の5分の1を占める第2位の輸出先に急成長した。日本産和牛の人気は中国でも高いが、中国政府が禁輸措置を解除していないため、カンボジア経由の「裏ルート」で持ち込んでいるとみられる。

01年に日本でBSE(牛海綿状脳症)が発生して以来、中国は日本産牛肉の輸入を禁止したままだ。しかし、中国では実際に流通しており、「高級焼き肉店などで『和牛』は人気のメニュー」(日系企業で働く中国人)とされる。「日本を訪れた中国人が手荷物として大量の和牛を持ち帰るケースも多い」(中国駐在歴の長い日本人会社員)という。

 カンボジアに駐在する日本の政府系機関の関係者によると、いったんカンボジアに輸出された日本産牛肉は「カンボジア産」の表示がある箱に入れ替えられ、ベトナムなどを経由し、中国の上海や深センに送られているという。関係者は「カンボジアに輸出された和牛は全て中国に渡っている」と断言する。

 かつて日本産牛肉の輸出先トップ2に入っていたベトナムは、10年に宮崎県で口蹄(こうてい)疫が発生したため輸入を禁止した。カンボジアはベトナムと入れ替わる形で上位に浮上。日本の商社や政府関係者は「中国に運ぶ裏ルートの経由地がベトナムからカンボジアに切り替わった」と口をそろえる。

 日本の農林水産省は17年に192億円だった牛肉の輸出を19年までに250億円に拡大する目標を掲げている。中国が輸入を解禁し「表ルート」が開通すれば、一気に目標に近づくとみられる。しかし、「外交カードに利用されるのは確実で、一筋縄ではいかない」(農水省幹部)見通し。いびつな形の「輸出」が当面続きそうだ。 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181230-00000042-jij-bus_all