THAAD追加配置の先送り、ファーウェイ使用自粛せず、米国の要求を黙殺
 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の外交の中心軸が中国に大きく傾いている。韓国の保守系メディアからは、文政権の「中国重視外交」が伝統的な米日韓同盟まで揺さぶる恐れがあるという指摘まで出ている。

 『中央日報』は文政権の外交部が最近、来年初めの組織改編を通じて「中国局」を新設する方針を固めたと単独報道した。報道によると、現在日本の業務と中国および中華圏の業務を担当している「東北アジア局」が「中国専担局」に改編される一方、日本の業務はインドやオーストラリアなどを担当する「オセアニア局」に統合させる案を構想しているという。

 同紙は、「これまで一つの国家を専担する外交部の組織は米国業務が中心の「北米局」が唯一だったため、「中国局」が新設されることに対して、外交部からは『北米局に匹敵する水準の格上げ』という見方が出ている」と紹介した。

 『朝鮮日報』も政府組職を担当する行政安全部の関係者の言葉を引用し、外交部の中国局新設構想が「最終的に確定された事案ではないが、肯定的に検討中」と報じた。同紙は中国局新設をめぐって外交界でも賛否が分かれていると伝えた。

「中国と解決しなければならない安保・経済懸案が急増している状況で対中外交力を強化できる機会」という賛成意見と、「米・中・日・露の間の均衡外交が切実なのに、中国局設置で中国中心の偏った外交で曇る危険があり、米国と日本がどのように受け入れるか疑問」という反対意見を、それぞれ紹介した。

 文政権は就任後から中国外交に格別に力を入れてきた。2016年の7月、朴槿恵(パク・グネ)政権が北朝鮮核の脅威を理由に韓国内のTHAAD配置を決めたことで、中国政府が激しく反発し、中韓関係は破局に追い込まれた。中国政府は、韓流ドラマなどの韓国文化コンテンツの輸入を禁止し、自国民の韓国観光を全面禁止するなど、経済封鎖政策で韓国に打撃を与えた。

 中国に進出した韓国企業は、中国国民の不買運動とともにデモ隊の襲撃にあった。特に、THAAD配置のために敷地を提供したロッテグループの打撃は深刻だった。中国全域で112店の店舗を運営していたロッテマートは、そのうち87の事業場を閉鎖し、結局は中国事業の「完全撤退」を宣言した。

 最悪の中韓関係の下で誕生した文政権は、中国との関係改善を外交の最優先課題に据えた。THAAD配置をめぐる対立が引き金をひいいた中国の経済報復に対し、WTO提訴を求める韓国マスコミや野党の動きにもかかわらず、大統領府は「提訴せず」の立場を堅持し、中国の経済報復を甘受しつづけた。

 最初の訪中を控えて、康京華外相が中国の韓半島外交の基本方針である「3不(THAAD追加配置不可、米ミサイル防衛条約加入不可、日米韓軍事同盟不可)」の原則に同意したというニュースが、中国メディアを通じて伝えられた。文大統領の外交政策の懐刀と呼ばれる文正仁(ムン・ジョンイン)特別補佐官もインタビューに応じ、「3不は常識であり、いくらでも受け入れることができる」との意見を述べた。

 2017年12月の最初の訪中で文大統領は自ら「3不原則」を再確認した。 この文大統領の3泊4日間の訪中外交は、中国側の仕組まれた無礼によって「屈辱外交」という批判まで巻き起こった。文大統領は10回の食事のうち、8回も「一人飯」を食わされた。首脳会談を控えて、中国の警護員が韓国記者を暴行する事態も起きた。

 しかし、北京大学を訪れた文大統領は中国国民に寄り添った。北京大学の学生たちの前で「中国は高い峰のような大国であり、韓国は小さな国」「中国の夢が中国だけの夢ではなく、アジアのすべて、さらには全人類が一緒に見られる夢になることを願う」と力説し、韓国内の保守系世論から非難を浴びた。

 2017年9月の韓米首脳会談で米国側に約束したTHAADの韓国内の追加配置は、「環境評価」を理由に現在に至るまで1年以上も先送りにされている。日米韓の軍事同盟については文大統領自ら「絶対不可」の意思を繰り返して表明している。

 米中貿易戦争の最中、インドやオーストラリア、ニュージーランド、日本などの米国の同盟国が、米国の要請によって、中国の通信設備会社のファーウェイとZTE製品の使用自粛を判断したのに対し、文政権は使用禁止を検討していないように見える。「憂慮」すら表明したことがない。韓国の代表的な通信会社の「LGユープラス」は、コスパを理由に5G移動通信装備にファウェイを選択した。

 文政権の脱原発政策と関連し、北朝鮮を経由して中国やロシアからエネルギーを輸入して日本へ輸出するという「北東アジアスーパーグリッド事業」を推進しているというニュースも、最近報じられた。北朝鮮の非核化プロセスにおいては、文政権は、米国よりも中国に近い立場とみられている。

 「まず非核化、その後に北朝鮮制裁の解除」を強調する米国や日本に比べ、文政権と中国は、北朝鮮の段階的非核化措置に対応した制裁の緩和を繰り返し主張している。文正仁特別補佐官は講演会で「北朝鮮が非核化行動を取れば、習近平中国国家主席が米国側にそれに対応する制裁緩和を要求すべきだ」と強調した。

 これまで韓国政府は「安保は米国、経済は中国」という外交の原則を保ってきた。しかし、米中貿易戦争による新冷戦とも言われる状況のもと、米国と中国とのいずれかを選択するしかない状況に追い込まれている。文政権の選択によっては、韓国の運命はもとより、北東アジアにおける伝統的な米日韓安保同盟も大きく変わってくるだろう。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190101-00010000-socra-int