非核化をめぐり、事実上の成果なしで終わった第2回の米朝首脳会談。この結末に影響を与えたとの見方もある“対北朝鮮強硬派“のボルトン大統領補佐官が5日、FOXニュースのインタビューで「北朝鮮が非核化に向かわなければ、経済制裁の緩和はない。我々は制裁をさらに厳しくすることも検討する」と制裁強化を示唆。

さらにアメリカの研究チーム「38North」は5日、北朝鮮が昨年9月に韓国との間で廃棄に合意、解体したはずの東倉里西海衛星発射場で復旧作業が行われたと発表した。会談直後の会見で「金委員長は昨夜、どのような結果であれ核兵器とロケットの実験はしないと約束してくれた。私は彼を信用し、彼の言葉が真実だと信じる」としていたトランプ大統領。両国の関係は再び緊張状態に向かうのか。

安全保障が専門の村野将・岡崎研究所研究員は「アメリカのシンクタンクや研究機関の中から北朝鮮のミサイル施設について新しい分析が出てきてはいるが、こういった兆候は数か月前から確認されていた。米政府の中で北朝鮮に対する懐疑論が強くなったからこうした情報が出てきたということでは必ずしもないと思う。基本的には現状維持だ」と話す。

 その上で村野氏は「2回目の米朝首脳会議で、アメリカと北朝鮮が描“く非核化のビジョン“が異なっているということが明らかになった。これが一番の大きな成果だったと思う。つまり北朝鮮の言う非核化には、北朝鮮に対してアメリカが核の脅しをしないということ、韓国にさしているアメリカの核の傘も含んでいると考えられる。昨年12月に韓国の国防大学と青瓦台関係者も出てくる会議に出席したが、北朝鮮に対するアメリカの核の脅しがなくなるというのは事実上考えられない。アメリカは本土のICBM、太平洋の爆撃機、西海岸近くの潜水艦からでも北朝鮮を核攻撃できる能力がある。つまり北朝鮮の要求というのは、ほぼアメリカの核武装解除に等しいわけで、現実的にそのようなことは考えられない。お互いの溝というのは非常に深いと思う」と指摘した。

北朝鮮情勢に詳しい聖学院大学の宮本悟教授は「確かに北朝鮮は体制保証をすれば核兵器を放棄すると言っているし、実際にそういう行動に出ると想定できるが、ではどうやってするのかということになると、答えを出したことがもない。北朝鮮自身もわからない。だから米朝首脳会談の非核化交渉というのは、もともとまとまるような話ではなかった。いつどこで話が止まってしまうのか、または決裂するのか、というものだった。トランプ大統領としても金委員長としても、“初めて成果を出している“と言っているわけで、任期中は何も進んでいなくても“うまくいっている、成功している“と言い続けるしかない。大統領が代われば、米朝交渉自体が破綻するということもありうる」と話す。

 「平和とか安全というのは意識上の問題でもあるので、お祭り的に盛り上げれば、飲み込まれてしまうことはある。ただ米朝首脳会談が物別れで終わったように、こういうことがあれば一気にそういう意識が失われ、現実に引き戻される。たとえば中国と北朝鮮が本当に真剣な戦争をし始めた場合、なり振り構わずアメリカや日本に味方になってくれと求めてくる可能性はあるが、現在の東アジアの対立構図が変わるということは、ここ10年くらいは多分ないと思うし、北朝鮮が日本の敵対勢力であるという構図も多分変わらない」。

そんな中、米朝会談直後に「トランプ大統領が拉致問題を提起し、首脳間で真剣な議論が行われたと伺っている」「次は私が金委員長と向き合う番だ」と述べた。日本にとって、朝鮮半島情勢は今後どのように進展を見せるのだろうか。

宮本氏は「安倍総理の意気込みはわかるが、それは意気込みだけであって状況は何も変わっていないと言える」と指摘。村野氏は「思考実験として、少なくともアメリカと北朝鮮が本当に和解するのであれば、北朝鮮が日本に対して脅威をもたらす必要性はなくなる。その時点で日本が北朝鮮と向き合って問題の処理をするというのは考えられるかもしれない。しかし、基本的に北朝鮮の今の意図と能力というのが大きく変わっていない以上、この問題もなかなか動かないし、動いたからといってレバレッジがあるということでもないため、日本にとっても状況は好転していない」との見方を示した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190310-00010020-abema-kr&p=2


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