仕事に適性があるように、結婚にも向き不向きがある。

どんな爽やかイケメンでも、高学歴・高収入のハイスペ男でも、残念ながら“結婚に向かない男”は存在し、数々の婚活女子を絶望させている。

この連載では、婚活中のアラサー女子が実際に遭遇したケースを基に、東京に数多生息する “結婚に向かない男”の生態を紹介していく。

【報告者】

名前:内田詩織(仮名)
年齢:27歳
職業:外資系化粧品会社BA
住居:中目黒

【今週の結婚に向かない男】

名前:大山秀樹(仮名)
年齢:33歳
職業:メガバンク
住居:新富町(親所有のマンション)

「正直、思い出したくない過去です」

中目黒駅近くのカフェ『FRAMES』に現れた詩織は、大きくため息をついた。

「元彼の秀樹と別れたのは半年前のことです。2年付き合ってたので、立ち直るのに少し時間がかかりましたが、今は一応新しいデート相手もできました」

半年前の別れは、彼女の心に大きな傷を残したと言う。

「だって彼、はっきりとプロポーズしてくれたんですよ。“詩織とずっと一緒にいたい。俺と結婚してくれ”って。軽井沢の、オーベルジュのフレンチレストランの個室で。…それを翌日に覆してくるなんて、誰も想像できないですよね?」

そう言いながら、詩織はその大きな瞳をさらに丸くして見せた。

だが話を聞いてみると、彼女がここまで怒るのにも納得ができる。

彼は真剣なプロポーズをしてくれたのに、翌日にまさかの“前言撤回”をして、「やっぱりなかったことにしてほしい」と申し出てきたのだ。怒らない女性はいないだろう。

プロポーズを受けた翌日、秀樹の車で家まで送り届けてもらった後も、詩織はプロポーズの余韻に浸っていたという。

「スマホで、婚約指輪とドレスをずっと検索してました。秀樹自身はメガバンク勤務のサラリーマンですけど、実家が割と裕福なんです。お父様が確か著名な大学教授とかで…お母様もとっても上品で素敵な方。

別に玉の輿を狙ったわけじゃないですけど、そういういいお家に嫁げることは素直に幸せだなって」

地元・秋田から上京し、百貨店で美容部員をしながら必死で生計を立てていた詩織。

秀樹と知り合ったのは友人の紹介だった。Facebookで詩織を見つけた彼が友人に、「ぜひ紹介してほしい」と頼んだらしいのだ。

それから2年の年月を重ね、ついにここまでたどり着いた。

しかし夢見心地のままベッドに横たわろうとしたその時、秀樹から不穏な着信があったのだ。

“前言撤回”の許しがたい理由
「詩織、ごめん。それで…その、プロポーズの話はなかったことにしてほしいんだ」

彼女は、今でも一言一句覚えているという彼のセリフを教えてくれた。

「なかったことにしてほしいなんて…意味わかんないですよね。結婚したいって言ったのは秀樹なのに。彼は言いづらそうにずっとモゴモゴ言い訳していましたけど、私も引くわけにはいかないから、何度も理由を問い詰めました」

するとついに観念した彼はこう言ったのだという。「母親と姉に猛反対された」と。

「彼は結局最後まではっきりとは言わなかったけど、つまりこういうことです。地方出身の、どこの馬の骨ともわからぬ女は信用できない。一流大学を出て、大企業に勤めている女性じゃないと結婚相手としては認められないって」

詩織はそう一気に語り終えると、苦々しい表情で俯いた。

「結婚はできない」と言いながらも秀樹は、「俺は本当に詩織のことが好きなんだ」と言ったり、「これからもずっと一緒にいたいと思ってる」などと並べたて、詩織を繋ぎとめようとしたらしい。

「プロポーズを受けるくらいだから、もちろん私だって秀樹を愛してました。もう一度考え直してくれないかな…とか、ご両親に会って話す機会だけでも作ってもらえないかな…とか、考えなかったわけじゃないんです。でも…なんか急激に冷めちゃったんですよね」

詩織は、静かにカフェラテを啜ると、睫毛を伏せたまま言葉を続けた。

「だって、秀樹ってもう33歳なんですよ?いい大人が、自分で決めた結婚相手を親に反対されるって…それって親から信用されてないっていうことですよね。

その関係性がもう情けないっていうか。それに反対されて説得もできないなんて、彼の能力も疑っちゃいました」

嘲笑うように言った詩織の表情は固い。しかし顔を上げたその目には力があり、はっきりとした意志が感じられた。

「少なくとも私は10代から自立して、自分の力で生活してます。いつか自分でエステサロンを経営したいっていう夢もあって、そのために努力もしている。恥ずかしい生き方をしてきた覚えなんてない。

それなのに…親に自分の彼女を否定されても反論すらしない人なんて、こちらから願い下げですよ。

あと、これは結果論ですけど、振り返ってみれば最初から“?”と思うことはたくさんありました」

割り切ったように笑いながら、詩織は元彼・秀樹の“言いなりエピソード”を教えてくれた。

「付き合ってまだ間もない頃に、“なんでメガバンクに就職したの?”って聞いたときの答えが忘れられないですね。彼、最初は広告代理店志望だったらしいんです。

でも親がメガバンクにしろって言うからそうしたって。そう言ったんですよ。自分の人生なのに親の言いなりなんだ!?って…驚きました」

自らの就職先さえ親の言いなり。詩織の価値観では信じられなかったと言うが、当時は自分に直接被害が及ぶわけではなかったから、深く考えようとしなかった。

「あと、付き合ってちょうど1年が経つ頃かな。私の家の更新があって。その頃から結婚の話が出てはいたから、一緒に住めたらいいな…なんて相談したことがあったんです。結局断られたけど、その時の理由も親でしたね。結婚前の同棲は親が嫌がるからって。

正直、プロポーズを撤回されてしばらくは落ち込みました。でも冷静になって、もしあのまま結婚していたら…と思うと恐ろしいですね。夫婦の問題にも親や姉が確実に口を出してくるでしょうし、そんな時でも彼は親の言いなり。私の味方は誰もいない。そんな結婚生活、地獄ですから」

そう考え直し、持ち前のポジティブさで立ち直った詩織は今、20代後半のIT系スタートアップ勤務の男性とデートを重ねているという。

「彼は秀樹とは真逆のタイプです。人生を自分でハンドリングしているし、判断を人任せにするなんてありえない。私の夢も応援してくれていて、アドバイスをくれたりもします。まだ出会ったばかりだけど、こういう人が結婚向きなのかもって思います」

穏やかな表情で語る詩織。新たな彼について話す彼女の口ぶりは、これまで元彼・秀樹について語っていたときとまるで違う。

「…それに彼は男兄弟の次男で、口うるさい姉もいないの」

詩織はそう付け加えると、悪戯っぽく笑って見せた。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190312-10010785-tokyocal-ent&p=3


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