【カイロ篠田航一】スリランカの連続爆破テロ事件は、中東のイラクやシリアといった本拠地でほぼ一掃された過激派組織「イスラム国」(IS)が「犯行声明」を出し、アジアにおけるイスラム過激派の脅威が浮き彫りになった。今年はイスラム暦の断食月「ラマダン」が5月6日ごろに始まる。期間中に信仰心が高まることにつけ込む形でISが「不信心者や異教徒」へのテロ攻撃を呼びかけるケースが多く、イスラム教徒の多いアジア・アフリカや中東各国は警戒を強めている。

スリランカ政府は地元のイスラム過激派「ナショナル・タウヒード・ジャマア」(NTJ)によるテロとの見方を示し、ISとの関係も捜査している。

 エジプトの過激派研究者ムニール・アディブ氏は「同時多発的な自爆テロは訓練された者しかできず、実行者側にとっては難しい攻撃。能力と経験のあるISが関与した可能性は高い」と分析し、「従来は大規模テロがなかった小国スリランカを標的にしたことで、ISは『世界のどこでも攻撃できる』という恐怖を国際社会に植え付ける効果も狙った」と指摘する。

 ラマダンを控え、各国は警戒を強める。2016年のラマダン期間中には、バングラデシュ・ダッカで日本人7人を含む20人が犠牲になった人質テロ事件が起きた。17年にはアフガニスタンの首都カブールで150人以上が死亡する爆弾テロが発生。日本の外務省も、ラマダン中は観光地や娯楽施設などの「人が多く集まる場所」では特に周囲に注意を払い、滞在時間短縮などの対策を取るよう呼びかけている。

 ISは事件2日後の23日、系列のニュースサイト「アーマク通信」で犯行声明を出した。公開されたテロ実行役とされる男らの動画では、現在も所在不明のIS最高指導者バグダディ容疑者への忠誠を唱えている。一時はイラクやシリアの主要都市を実効支配したISは現在、組織としては崩壊し、明確な指揮系統はないものの、ISに共鳴する各地の過激派が独自にテロを実行する可能性は依然残っている。

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