安倍晋三首相は29日、欧米6カ国歴訪を終え、政府専用機で羽田空港に帰国した。各国首脳との会談で、6月に大阪市で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の議長国として協力を要請した。特に、世界貿易機関(WTO)の紛争処理のあり方をめぐり、韓国による水産物輸入制限措置に対しWTOに異議を唱えた日本の立場について、各国首脳から支持を得た意義は大きい。G20サミットでWTO改革に向けた合意形成の追い風になる。

 安倍首相は最後の訪問国となったカナダの首都オタワで28日午前(日本時間28日午後)、トルドー首相と会談し、韓国の制限に対するWTOの判断に抗議したことを説明。トルドー首相は「問題意識を共有する」と支持を表明した。

 会談では、北朝鮮の非核化と拉致問題の早期解決に向けて緊密に連携する方針を確認。G20サミットで自由貿易推進や女性の活躍、海洋プラスチックごみ対策などで協力していくことも合意した。

 安倍首相は会談後の共同記者会見で「紛争解決が機能するよう改革することが不可欠だ。WTO加盟国からも判断の妥当性を問題視する声があがっている。G20各国と建設的に議論していきたい」と述べた。26日にジュネーブで開かれたWTO会合で「1審」の紛争処理小委員会が日本の主張をおおむね認めたのに、上級委員会が覆したことに各国から疑問の声が相次いだことを踏まえた発言だ。

 安倍首相は26日のトランプ米大統領との日米首脳会談で、WTO改革へ日米が連携していくことで一致。25日の欧州連合(EU)との会談では、ユンケル欧州委員長が「公的な助成金や強制的な技術移転はルールがあるべきだ」と語った。自由貿易体制を率いる日米欧がWTO改革で足並みをそろえた形だ。

 WTO改革は、紛争解決の要とされる上級委員会の機能回復と同時に、米国の保護主義的な動きや、知的財産の強制移転や政府補助金など中国に是正を促す意味を持つ。米中両国と良好な関係を持つ安倍首相だからこそ、米中対立に歯止めをかける役割を期待されているといえる。(小川真由美)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190429-00000548-san-pol