[ロンドン発]英国のイングランドと北アイルランドで2日行われた統一地方選は欧州連合(EU)離脱派の保守党、英国独立党(UKIP)、どっちつかずの労働党の3党が大幅に後退し、EU残留派の自由民主党や緑の党が躍進しています。

EU離脱交渉を迷走させた最大の責任者である保守党のテリーザ・メイ首相に対する退陣圧力が強まるのは必至です。

5月23日に予定される欧州議会選では強硬離脱派の新党「ブレグジット党」が世論調査で30%の支持を集めています。「人気投票」に流れる欧州議会選に比べ、日常生活に直結する地方選は真剣に投票するため、今回の結果は英国の民意が大きく変わったことを意味します。

投開票が行われたのは、ロンドンを除く、保守層が強いイングランドの248地方議会選と6自治体の首長選、カトリック系とプロテスタント系の強硬派、穏健派が争う北アイルランドの全11地方議会選です。

保守党の牙城イングランドで残留派が躍進したことで強硬離脱派がメイ首相に歩み寄るのか、離脱決定を撤回する2回目の国民投票が行われるのか、予断を許しません。

英BBC放送の速報(現地時間3日午前11時)によると――。

保守党 446議席減

労働党 76議席減

自由民主党 304議席増

緑の党 42議席増

UKIP 54議席減

その他 230議席増

イングランド南部ウィンチェスター議会や同南西部コッツウォールド議会では自由民主党が保守党から議会の多数派を奪いました。

自由民主党のビンス・ケーブル党首は「EU離脱にかかりきりになって生活に関わる重要な問題をおろそかにしてきた結果だ。一貫して残留を主張してきた我々に再び支持が戻ってきた。英国は二大政党ではなく三党政治に戻った」とBBCに話しました。

BBCのローラ・クエンスバーグ政治部長は「まだ全体像は見えないが、保守党は最大で800議席を失い、自由民主党は500議席増やす可能性がある」と予想しています。

世論調査サイト「UK Thinks EU(英国はEUをどう思っているか)」を運営するジョン・カーティス英ストラスクライド大教授はBBCで次のように解説しました。

(1)無所属は立候補した69の選挙区で25%の票を得ている。

(2)こうした選挙区で無所属の得票率は前回より15ポイントも増えた。

(3)無所属の得票率が離脱派の多い選挙区より残留派の多い選挙区で特に伸びたわけではない。

(4)保守党と労働党は戦後最悪の結果に終わりそうな状況だ。

EU離脱交渉は北アイルランドとアイルランドの国境問題で完全に暗礁に乗り上げており、離脱期限は当初の3月末から10月末まで延期されました。強硬離脱派に見切りをつけたメイ首相は最大野党・労働党との与野党協議に舵を切りましたが、見通しは全くついていません。

「隠れ離脱」派のジェレミー・コービン労働党党首が離脱派の保守党と与野党協議を始めたことに失望して、残留派の票が2回目の国民投票を唱える自由民主党や緑の党に流れています。

主権を守るためなら市民生活や企業活動を大混乱に陥れる「合意なき離脱」もやむ無しと息巻く強硬離脱派の論理に嫌気が差し、保守党の親ビジネス票も自由民主党に流れたと筆者は見ています。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20190503-00124637/


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